4年前だったか、デジタル、アナログの音源に対応できる安いアンプを探していた。部屋の余裕もないところで、大きく重い高性能アンプ製品は、残念ながら敬遠するようにしていた。
TEAC A-H01は今から13年以上前の中古製品だ。
D級アンプで、小型化されていて、これで光、同軸のデジタル入力に対応して、ハイレゾ仕様として低価格、エントリモデルとして出てきて、DACや4Ω40+40W全高調波歪率0.02%と最大出力、40W + 40W (4Ω、1kHz、JEITA); ハイレゾ対応で周波数特性 10Hz~80kHz(-3dB); S/N 比 100dB(ライン入力、IHF-A/入力ショート)、歪率 0.05%(1kHz、サンプリング周波数192kHz)と、D級アンプで当時のエントリークラスの製品としては、CPは標準的だったと思うが、PCのそばにおいても邪魔にならない1.6kg足らずの小型ボディにこれだけ詰め込んでいて、Optical/Coxialの2系統のデジタルインとアナログRCAも2系統持っているというのは、なかなかだと思う。当時の実売価格4万5,000円の製品だが、今、状態の良いものがオークションだと7,000円が平均落札価格とされている。実際には動作品で状態の良いものは12,000~15,000円ぐらいからは下がらないようだ。本当に7,000円で手に入るなら、まあ安旨オーディオ紀行のタイトルとしては、D級アンプとして悪くない選択だと思う。
私は当初、2004年製造の中古のYAMAHAのAVアンプを最初にメインアンプとして使っていたが、流石に20年選手で、壊れてしまった。そのあとこれを入れて、軽くて邪魔にならないオーディオ装置としてクラシックな製品ならQUARD、今の売れ筋なら小型中華デジタルアンプと並べられるような小ぶりなデザインが気に入っている。このシリーズ、トップモデルのAX-501も4㎏台で横幅30㎝にみたないし、中級クラスのAI-301DAとなればこのA-H01より小さい。デザイン、バカっぽく無くてオーソドックスで飽きにくい。
音質は、悪くないがそっけない。癖もなく、能率がそこそこ良い方が望ましいパッシブ型のミニスピーカー気楽に鳴らすので良いと思う。車載で色々実験したかったので、4年前に2台手に入れたが、今も当時もそんなに値段は変わっていない。このシリーズで、文句が出にくい音質とスペックを持っているのは、AI-301DAの方だが、こちらはもう少し値が張る。 小型のD級アンプとしては、デザインもシンプルで、小ぶりなシャーシは、同時に出たヘッドフォンアンプUD-H01などとデザインを合わせられている。 さすがに干支が一回以上回るぐらい前の製品だから、ネガを考えるのはちょっと酷かもしれないが、逆に言えば値段なりの音質以上のもの(それでもハイレゾ対応で、当時高性能オーディオアンプのエントリーモデルだった)を求めない限り、気になるネガは以下の通り。
①ヘッドフォン出力に余裕がない(50 mW+50 mW)ところで、音圧も音質も、かなり物足りない。 ヘッドフォン出力は、贔屓めに聴いてもぺちゃんこな音。これはそれなりにコストをかけて作られたアナログアンプの中古品のそれを試聴したら、二度と聴く気が起こらないぐらいなのだが、それを責める気にはならない。嘗てのそれなりに評価されたアナログアンプのヘッドフォン出力の音量は余裕があるし音質も良いのだ。本製品ではヘッドフォン出力は補助的な性能にとどめて、当時ヘッドフォンアンプであるUD-H01に方を検討してもらう意図もあったのかもしれない。 だからヘッドフォンアンプとしてだけ使うのなら、あまりお勧めはしない。もっと別の選択肢があると思う。
②デジタルアウト、ラインアウトはない。 出力はスピーカー端子とSWのRCA端子、ヘッドフォン端子だけ。 今時はシンプルな使い方が主流だからネガではないが、アナログ入力が沢山必要な人は、間に合わないのでコンポの組み方、使い方は、限定される。 私の場合PCからのデジタル出力はDACから分岐させてこのアンプや別のもう一台、更に別のアナログアンプDENON-PMA390IIIに割り当てているから、このアンプからの出力はスピーカーとスーパーウーハーに回して型どおり2.1chで使っていて何も困らない。 ③パワーパワーアンプボード Bang & Olufsen ICEpower a/s(ICEpower)とDACチップBurrBrown PCM5102が古い。 古いと言っても、問題があったわけではない。製品として新興の中華製品みたいに不具合も聞かないし、長期安定生産されていた。後継のPCM5122はデジタルフィルタの特性を切り替えで音質の調整が可能みたいな付加機能がついているが、必要を感じない。ネガ消しが必要だったとか、基本性能が格段に違うなんてことはないので、短所だとは思ってない。ほとんど中古でしか手に入らないので、長期ハードに使われてきた個体のリスク以外は、無いと考えている。今やマークレビンソンに使われる最新のオペアンプでも、実質数百円の部品で、それより値段でも評価でも劣るオペアンプでも、聞き分けが付く人は少ないと思う。一般視聴なら悪いなんてことはない。自分が聴いてみて嫌じゃない音なら正解である。
④スピーカーとの相性は結構ある。
私は1台をQUAD L-iteをバイワイヤリングで繋ぎ、SW端子はちゃんとMarantzのSWをつないで鳴らしているけれど、ちょっとうれしくなるような音で鳴っている。Klipsch R-51Mも悪くない。このアンプ、ダンピングファクターは、感覚的にそんなに高く無いアンプという気はするが、でも駆動力で制御するアナログアンプではなく、コイル位置を制御するデジタルアンプであるから実際には関係ないだろう。音の響き方にスピーカーの能率がそのまま効いているなという感じだ。
一方、 DENON PMA-390IIIとはアンプスピーカーセレクターで以下のスピーカーを共有できている。Klipsch R-51M、VICTOR SX-V05 (1997), ONKYO D-N7EX (2010), ONKYO D-N112EXT (2017), ONKYO D-N7TX (2007)、YAMAHA M-10MMは、まあ普通に鳴っているなって感じで、よくできた出力に余裕があるアナログアンプでドライブしたのと比べてしまうと、確かにいまいちという感じだ。単体で視聴したら、不満はそんなに出ない気がする。
⑤古い製品なのでPCとのUSB接続におけるドライバーが更新されてないし更新されない。 これが一番ネガかもしれない。私は安いDACからの光デジタル出力を入れて鳴らしているので、全く関係ない。DACは高性能で安いものが出ているのでその使い方の方が良いと思っているが、多分あまり音質的に違いが判るなんてレベルの布陣ではないので気楽である。ただ本体とパソコンとの接続だけで済ませたい、デバイスを増やしたくない人は、Macではちょっと苦労する(参考「TEAC A-H01 のドライバを macOS Catalina に無理やりインストールする 」)。Windows11もUSB3.0の接続端子では不具合が生じるようだ。とりあえず自分がやったテストではLinuxが載っているPCなら、特に特別なドライバインストールせずにあっさりUSB接続で使える(Ubuntu audio )ので、このアンプと組み合わせるPC音源としては、LINUXマシンを1台作ってしまう方が、楽かもしれない。メーカーが推奨している使い方でないかもしれないけれど、既にカタログ落ち欠番の製品なのでそこはいろいろ実験的に気にせず使えるのも、自分みたいな人間には長所だ。
中古で慌てて手に入れて、当時何も考えてなかったけれど、今ドキュメントを拝読すると「これは私だ」って思ってしまった。時代が一回りしてしまっているが、依然として、上記のネガを気にしなければ、ちゃんと通用している製品だと思う。
このアンプが来た時には、チコはまだ元気だった。私が、ごちゃごちゃつないでUbuntuで実験しているときには、その傍らで良い顔で爆睡していた。
今はもういない。
このアンプ、長所も追記しておこう。
①クールで小型軽量のボディデザイン。
デジタルアンプらしい、重量1.6㎏、215 x 61 x 258 mmのコンパクトさでまとまっている。TEACのこの眷族は、このデザイン好きな人はそれだけで選んでよいだろう。今の日本、どでかい重いオーディオは、なかなか難しいけれど、PCの横における精神的圧迫感もない本式オーディオプリメインアンプ。Black/Silverボディもあるよ。
②輝かしい高級ブランドのBang & Olufsen ICEpower a/s(ICEpower)
型としては古くなったけどまだ現役で行けるパワーアンプボード。出力無理していないだけ、無難にまとまっていて、安い中華アンプより安全マージン撮られていて負荷もかかりにくいから長生きしそう。ファンレスでも夏場シャーシ温度40℃超えない。さすがデジタルアイスパワー。S/N比、100dB;全高調波歪率(JEITA)、0.05%(4Ω、1kHz)は、スペックで聴いても不安はないレベル。
例えばオペアンプにしろ、以下のような教訓はたくさんある。
「やかましい。ここをなんとこころえる。しずまれ、しずまれ。 よろしい。しずかにしろ。申しわたしだ。このなかで、いちばん安っぽくて、ばかにされやすく、めちゃくちゃに安い値段で、マークレビンソンなどには間違っても使われることはない、60円足らずのオペアンプがいちばんえらいのだ。」(『オペアンプと山猫』)
③DACチップの基本性能はこの頃に完成
BurrBrown PCM5102の後継モデルは、フィルター機能強化で、基本性能はそんなに変わらない。光・同軸デジタル2系統は24bit/192kHzで今の最大高音質の一段下だが、いまだ十分な性能。本機の中古値段を超える中華デジタルアンプが、百花繚乱状態でも、多くがハイレゾ未対応の帯域20,000Hzどまりの割り切りなのにちゃんとハイレゾ10Hz〜80kHz。考え方によるけど、中華アンプ新品購入としたら、こちら中古価格(どっちにしても既に生産中止)で比べると、CPで今だ勝てる製品は出てこない。
④TEACっす
縮小再編が進んだ日本のオーディオ業界にあって、デジタル化以降でもその存在感と確かなブランド価値を示している、「作り逃げ」しない日本メーカー製の安心感っす。
⑤タマ数豊富
中古市場にあって、希少モデルではないので、中古個体も、外見傷だらけでも完動品~未使用美品まで吟味して購入できる。
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