中古で慌てて手に入れて、当時何も考えてなかったけれど、今ドキュメントを拝読すると「この対象ユーザーは私だ」って思ってしまった。時代が一回りしてしまっているが、依然として、上記のネガを気にしなければ、ちゃんと通用している製品だと思う。
⑥今の同じ価格帯のデジタルアンプと同じくBASS/TREBLEコントロールはない。
PC音源の場合はPC側でアプリによりコントロールする余地が残されているが、PCA入力渡河は何もできない。潔くトーンコントロールはあきらめるしかない。それがあれば、そんなに苦労しないが、デジタルになってソース原音主義になってるのは痛しかゆしというところ。ちょっとBASS つまみをいじってやれば済むようなこともできない。
接続が楽で、音質や遅延についても性能が上がったBluetoothは内蔵していないので、結線が必要なくて重宝するその接続はできない。USB端子にBluetoothレシーバーを繋いで、みたいな技が使えるかどうかは試していないが、ドライバーも含めて無理っぽい。
このアンプが来た時には、チコはまだ元気だった。私が、ごちゃごちゃつないでUbuntuで実験しているときには、その傍らで良い顔で爆睡していた。
今はもういない。
⑧ トーンコントロールはない。
今どきのデジタルアンプでもその仕様は普通だが、割り切った設計だ。素の音が出せて、原音を聴かせるみたいな演出なのか、BASS/TREBLEコントロールがないデジタルアンプが目立つようになったが、グラフィックイコライザーも挟めないから、本当はあったほうが良いと思う。デジタルアウトなら、ソフト的なグライコはあるが、PCのグラフィックボードに手を付けるタイプのものは、安定性が暇一つ。一度それでシステムが飛んでから、私は手を出さなくなった。
トーンコントロールはコスト高になるのだろうし、音質で売る高級アンプにはダイレクトスイッチが存在しているから常時ダイレクトスイッチだ、みたいな方向はわからないわけではない。それでも、差別化でそ、安価なデジタルアンプにもトーンコントロールつけたものも出始めた。一周回ってやっぱりあったほうが便利だと思う。AVアンプなど音質いじったりSWとのクロスオーバーいじったりする方向は重装備だ。
追記ーただし、現行品で、価格、入力端子の豊富さなど、競合するものが出てきた。時代は早いね。トーンコントロールも使える。実はTEAC A-H01を手にいれるときに、個々の製品のいくつかと迷ったのだが、当時は、ここまでの機能のあるアンプはなかった。
VIDEO
「スピーカーけんちゃん」さんの、レビュー動画を貼っておく。この方、ハンドメイドのスピーカーマニアだが、デジタル製品のCPの良いものも、よくレビューしておられる。
このアンプ、長所も追記しておこう。
①クールで小型軽量のボディデザイン。
デジタルアンプらしい、重量1.6㎏、215 x 61 x 258 mmのコンパクトさでまとまっている。TEACのこの眷族は、このデザイン好きな人はそれだけで選んでよいだろう。今の日本、どでかい重いオーディオは、なかなか難しいけれど、PCの横における精神的圧迫感もない本式オーディオプリメインアンプ。Black/Silverボディもあるよ。
②輝かしい高級ブランドのBang & Olufsen ICEpower a/s(ICEpower)
型としては古くなったけどまだ現役で行けるパワーアンプボード。出力無理していないだけ、無難にまとまっていて、安い中華アンプより安全マージン撮られていて負荷もかかりにくいから長生きしそう。ファンレスでも夏場シャーシ温度40℃超えない。さすがデジタルアイスパワー。S/N比、100dB;全高調波歪率(JEITA)、0.05%(4Ω、1kHz)は、スペックで聴いても不安はないレベル。
例えばオペアンプにしろ、以下のような教訓はたくさんある。
「やかましい。ここをなんとこころえる。しずまれ、しずまれ。 よろしい。しずかにしろ。申しわたしだ。このなかで、いちばん安っぽくて、ばかにされやすく、めちゃくちゃに安い値段で、マークレビンソンなどには間違っても使われることはない、60円足らずのオペアンプがいちばんえらいのだ。」(『オペアンプと山猫』)
③DACチップの基本性能はこの頃に完成
BurrBrown PCM5102の後継モデルは、フィルター機能強化で、基本性能はそんなに変わらない。光・同軸デジタル2系統は24bit/192kHzで今の最大高音質の一段下だが、いまだ十分な性能。本機の中古値段を超える中華デジタルアンプが、百花繚乱状態でも、多くがハイレゾ未対応の帯域20,000Hzどまりの割り切りなのにちゃんとハイレゾ10Hz〜80kHz。考え方によるけど、中華アンプ新品購入としたら、こちら中古価格(どっちにしても既に生産中止)で比べると、CPで今だ勝てる製品は出てこない。
④TEACっす
縮小再編が進んだ日本のオーディオ業界にあって、デジタル化以降でもその存在感と確かなブランド価値を示している、「作り逃げ」しない日本メーカー製の安心感っす。
⑤タマ数豊富
中古市場にあって、比較的時代も新しく、希少モデルではないので、中古個体も、外見傷だらけでも完動品~未使用美品まで吟味して購入できる。
⑥多様な入力端子
USB(今となってはLinusxマシン用か)、Coxial、 Opticalのデジタル3系統、RCA2系統の入力を持つ。デジタル、アナログ音源をたくさん使いたい人にとっては、一つの選択肢。同じ出費で考えると、今の中華性のCPの良いデジタルアンプも勝てない。私のようにLPプレーヤー(単体のフォノイコライザーか内蔵タイプが必要だが)もカセットデッキも使いたいという、今のデジタルオーディオ品質に浸かるのだけではつまらないなと思うような天邪鬼の人には、向いているかも。
⑦サブウーハーをサポート
アンプ内蔵(ほとんど製品としてはなくなったが、パッシブ型は無理)サブフーハーを鳴らす端子を持っている。特にミニスピーカーを基本に構築する人には、売るためにはちゃんとアピールできる装備ではある。
⑧リモコンサポート
リモコンは、使用可能。高級感はないが入力選択とボリューム調整、MUTEと必要十分。ON/OFFはできない。MUTEは、音量下げるではなく、出力ゼロになるタイプ。