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デジタル時代にカセットデッキを手に入れる話 #12 1980年代末期CPモデル TEAC V-680

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 安い、シングルキャプスタンのダイレクトドライブでもない1989年製品のTEACのカセットデッキV-680という機種がある。オーディオの足跡(audio heritage)では、「TEAC V-680 ¥59,800」とある。英語版の同データベースにも載っていて、類似の記述だが、少し詳しい。
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 この機種は選びに選んで、手元に来たわけではないけれど、それでも私なりにかなり吟味して手に入れた個体だ。使っていこうと判断した理由はいくつかある。

①状態が良かった。
 ヘッド、回転系、その他の回路について、問題なく、発売時のスペックに近いものが維持されていた。

②シングルキャプスタンでメカがシンプル
 高精度電子制御モーターと極めて真円度の高いキャプスタンを用いることで、比較的高い性能の走行系を持つ。デュアルキャプスタン機構を持つモデルと違って、今後、ある艇の長く使えるものを探していたので、シングルキャプスタンでワウフラッター性能が良く、メンテが楽なものを探した。比較的修理記録がネットにも多いのは、それなりの機種ということで修理しての使用も良く行われている。凝った高性能メカを持つモデルは、最終的に、修理が困難になることが多い。
 また、1970~1980年代の高級モデルと違って、電源ONと同時にキャプスタンが回転を始めない仕様になっている。これは「まるでラジカセじゃん」って揶揄する話ではなくて、モーターの回転制御が一段進んで、特にブラシレスDDモーターのように、起動時の同期取りや速度制御回路の安定化にわずかなタイムラグが必要で、常時回転により応答性を向上させる必要がなくなったから。それでも本モデルのワウフラッター性能は0.045%(WRMS)で中の上。1970年代末の同社のハイエンドの原器的モデル、TEAC C-1、C-2、C-3のワウフラッターが0.04~0.05だったので、使用に耐えるレベルと考えられる。 

 脱線する。忘備録的にも使っているエントリだからお許し願いたい。
 かつてのカセットデッキで、電源ON時にキャプスタンモーターが休止状態でも回り続ける仕様が多かった背景について、主な理由と技術的背景を整理すると以下のようになる。

1. 駆動系の安定性確保
 フライホイール慣性の必要性:アナログテープ再生では、キャプスタンのワウフラッターを抑えるため、フライホイール(による慣性効果が必須だったので、電源OFFで完全停止すると、再始動時に回転が安定するまでに時間がかかるため、常時回転させておくことで瞬時の安定動作を実現。
 特にDD(ダイレクトドライブ)モーターの特性:特にブラシレスDDモーターの場合、起動時の同期取りや速度制御回路の安定化にわずかな時間を要するモデルもあり、常時回転により応答性を向上させていた。

2. メカニカルストレスの低減
 モーターの頻繁な起動/停止は、ベルトやゴム部品への負荷が増加する。特に古いデッキでは部品の経年劣化を考慮し、動作中の摩耗を分散させる意図もあったとのこと。ただ、いきなりピンチローラーが接続された瞬間に発生する衝撃はやはりあるから、個人的にはあまり関係ない気もする。

3. 起動が早い場合の設計思想
 後期の高級機種やクォーツロック採用機では、モーター制御技術が向上し、電源投入後数十msで安定回転が可能となった。このようなモデルでは常時回転が不要となり、テープ動作時のみ駆動する仕様となっている。ただし、ウォームアップ時間を考慮し、一部のプロ用機材(例:NAGRAなど)ではあえて常時駆動を採用するケースも存在した。

③X-670の改良型。
 ドルビーHXプロ搭載で、当時の値段据え置きゴーキュッパ3ヘッド最終モデル。

④幅471x高さ122x奥行275。mm5㎏台。
 部屋においても圧迫感がないデザイン。でも両サイドがウッドパネルで安いモデルではないことを主張。これも含め耐振対策は色々やっている。

⑤発売時期が、CDレンタルのピーク。
 1980年代末、カセットデッキは、一部のカセットデッキの音が大好きなマニアは別にして、デジタルオーディオにとって代わる前の、最後の一仕事をすることでホームオーディオのポジションを担っていた。何かといえば、レンタルCDのコピーだ。"1986年4月、CDのレンタルが開始される/1991年5月に著作権法が改正され、洋盤にも貸与権が付与される。翌1992年1月に改正著作権法が施行[。1992年、洋盤CDのレンタル禁止期間が発売後1年間に延長。邦盤CD(アルバム)については、1991年8月から発売後1週間、1992年10月から発売後2週間、1994年10月から発売後3週間がレンタル禁止期間となっている。/1994年、知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS協定)において、日本のCDレンタル・ビジネスが容認された(レンタルCD Wikipediaより )"
 つまり音質が悪ければ当時は異次元の音質を持つメディアだったCDのカセットテープコピーなどする気にはならない。そういう時期の製品。

⑥3ヘッドモデル。
 当時、CDからのダビングで、このV-680の音が悪ければ一発でバレる仕様。実際に音を聴くと十分に良い音で鳴っているグループに入る(ワウフラッター、周波数特性まとも)。周波数特性がこのクラスでそれなりに上位スペックに入っている(1990年代以降はSONYやNakamichi以外は、メタル使っても20kHzキーブがギリギリのモデルだらけ)だけのことはある。

⑦実際に音質悪くない。
 少なくとも1990年代のヘッド性能が怪しくなった上級機や、高級感出してもカセットデッキの実売価格がどんどん下がっていた時期の製品と比べると、TEACのまともな中堅機の音がしている。当時の販売価格10万円超えのモデルと比べるときついが、それらと比べてもそれほど無様な戦いにはならないレベル。

⑧なぜかTEACのWEBサイトの中に偶然とはいえ、遺構のように本モデルを含む4機種のプロモーションカタログの一部が残されている(R-646X、R545、V-680、V-580)。
 ここに電源部へのこだわりや完全DCアンプ化されていることや、パーツや回路構成のシンプル化、ドルビーHX搭載などが記載されている。あまり書くと、消し忘れならば、消されてしまうかな? それにしても過去のWPの遺稿(遺構)でなぜか残っているのはこの4モデルだけなのか、割と不思議。

 このカセットデッキが作られた時代とそれ以降の、オーディオの録音分野にかかわる状況について少し書き起こすと、こんな感じか。年表がいる話だけど今回は勘弁。
 YAMAHA、AIWAなどがバブル期以降1990年代以降はカセットデッキ部門は苦戦。ダブルデッキしか出せなくなってきている時代のスペックは、既に高性能モジュール生産ラインや維持コストが限界にきており、デジタルへの移行も進みそれでもほかの部門が好調で余禄があったSONYなどを例外としてより高スペックなモデルは旨得ていない。
 "ほぼカセットデッキの名門だった赤井電機AKAIは、1987年には、親会社となった三菱電機と提携してA&Dブランドのもとでオーディオ製品を製造・販売。DATレコーダーのほか、ゼネラルオーディオなどにも参入した。しかし、業況は改善されず、1992年末までにオーディオ分野から撤退(赤井電機 Wikipediaより)。"
 90年代後半〜2000年代初頭にCD-Rというメディアが登場して、音楽CDをCDにコピーすることが容易になった。中~高額モデルが高音質を売りにできるCDをコピーできるカセットデッキの運命はその時に終了した。それ以降は、『高級カセットデッキのオーディオファン』を相手にする最後の負けるとわかっている時代の決戦兵器?みたいな存在。Dolby S搭載機など、もろそんな感じ。「カセットデッキは本当に音がいいんです。過去のテープ資産のあるユーザーもおられますし、俺たちまだやれます。」みたいなの。当時は間違ってはいなかったかもしれない。私は彼らに感謝したい。

 もちろん過去の資産を持つ者には、膨大なLP/CDコピーFMエアチェックのテープを再生したりするためには高性能カセットデッキ開発、販売には役目があったわけだが、オーディオ装置という劇団の中で常に主要メンバだったカセットデッキの寿命はそこで終焉を迎えたと思う。
 "次元の違う高額、高性能カセットデッキで売っていたNakamichiは、バブル景気の崩壊以後経営難に苦しみ、1997年(平成9年)には香港の投資ファンドであるザ・グランデ・ホールディングズ・リミテッド傘下となるが、その後も経営状況は改善せず、2002年(平成14年)2月19日に民事再生法の適用を申請して倒産した(Nakamichi Wikipediaより )。
 私の実家にも初代の黒猫が居て、同社の広告のキャラに似てるなって思えたぐらいが、当時高額高性能デッキで、持てる者は少なかった同社のカセットデッキのイメージだった。ビンテージ時代になっても、超ギミックの複雑な高性能モデルで状態の良いものメンテをあてたものは高額すぎて、安い、旨いをモットーにしたようなサルベージ・ニッチの私には、やっぱり縁がない。

 AppleがiPod初号機を出した2001年、事実上リニアな録音データをテープメディアや光磁気メディアなどに「録音」する作業と意味は、そこでとどめを刺された。そしてCDすら試聴、購入する必要性は、急激にその価値を減少させていった。
 それ以降のカセットデッキは、Hi-Fi オーディオを志向する必要はなくなった。かつてのカセットラジカセレベルの録音再生能力があれば事足りるのdえ実際に製品は過去の資産を使いつつ、大幅にスペックダウンしていった。もはやカセットテープというhi-fi録音に向かないようなメディアに当時考えうるテクノロジーやメーカーの秘儀を使って相当なレベルの高性能録音再生装置の連合艦隊を作り上げた、その世界を支えるサプライチェーンは消滅した。新商品として作り上げられるカセットデッキの性能は、大陸のサプライヤーで何とかなるレベル、文字通りラジカセ並みになっていった。本機の高硬度パーマロイヘッドやクオーツロック制御のDDモーターなど、大陸で作れるはずもないし、また、圧倒亭なコストをかけて作る意味も技術も、既に無くなって久しいのだ。
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 このデッキの特性は、3ヘッドカセットデッキとしての基本性能をあるレベルに維持するためにいろいろコストダウンをやっているということか。凝ったバイアス・イコライザー自動調整機能や、曲間検出や曲指定などの飛び技はなにもない。ピークメーターは細かいとはいいがたいが十分問題なく使える複数シグナルが一緒に光るそれより2円以上前に出たTEAC R-616Xインディケーターパネルも、ほとんど同じものが使われている。この時代になると、こういうコストダウンみたいなのがあるから、ピークメーターはアナログの針の方が好ましいみたいなこだわりのある人もおられる。ピークホールドがあれば、私はあまり困ったことはないので気にしない。

 TEACのカセットデッキ「V-580」「V-670」「V-680」は、1980年代後半に登場した同一シリーズのモデルで、それぞれ異なるグレードと機能を持つラインアップとして位置づけられている。以下にその関係性を整理した表はこんな感じになる。ただし、1990年以降の、カセットデッキの単体の価値が下がっていった時代、同じスペックの製品が4万円を切る値段で発売された4桁モデルと比較する場合は注意が必要だ。後者は、カタログスペックはそれなりだが、様々なコストダウンが行われているモデルが多く、実際1980年代製品と比べて、海外のビンテージオーディオファンをその音質、性能で残念がらせる個体が多い。また、当時のスペックを維持している個体やメンテナンスでそのレベルまで持っていくのも、実際簡単ではないようだ。TEACのプレステージカセットデッキも1990年代初頭TEAC V-8000Sまでと思っている。



モデル間の位置づけ

モデル発売年(推定)定価グレード特徴
V-5801988年頃約49,800円エントリーモデル2ヘッド構成、基本機能中心
V-6701988年約59,800円ミドルクラス3ヘッド構成、録音モニター可能
V-6801989年頃約59,800円ミドルクラス改良モデルV-670の改良版、表示機能や安定性向上


  • V-580 → V-670 → V-680という流れで、機能性・音質・操作性が段階的に向上。

  • V-580は基本的な録音・再生機能を備えた普及モデルで、コストパフォーマンス重視。

  • V-670は3ヘッド構成を採用し、録音モニターや高音質再生が可能な中級機。

  • V-680はV-670の設計をベースに、メーター表示や安定性、音質面での改良が加えられた上位機種。

 V-680がV-670と同価格で登場している点から、TEACがモデルチェンジによって同価格帯での性能向上を図ったと思われる。V-580は価格を抑えつつ、基本的なカセットデッキの性能を提供する役割を担っていた普及モデルでV-670/V-680は中堅機。


🌍 AIに訊いてみた海外でのV-680/670音質評価ポイント

  • HiFi Engineでのレビュー V-670について、「レベルメーターが小さくピークホールドがない点は惜しいが、音質は非常に良好」との記述があり、再生能力に対する満足度が高いことがうかがえます。

  • YouTubeレビュー TEAC V-680のスペック紹介では、周波数特性がメタルテープ使用時に20Hz~21kHzと広帯域(普通は20Hz~20kHz)。カタログマニアのわずかな差みたいな話に見えるが、そこの1kHz伸ばすためのノウハウはそのまま高音質に直結している。音質面での優位性は伊達ではない音。

  • 3ヘッド構成Dolby B/C(V-670)およびDolby HX Pro(V-680搭載、メタルテープ対応も安定期のモデルだという話。


 AIに、日本のレンタルCDのピークが1990年にあったことと、当時のカセットデッキ開発販売の戦略と方向性について尋ねたら、以下の通り。赤字は私が補足したテキスト。

1. 市場環境の劇的変化
●CDフォーマットの登場(1982年)と普及初期
 1984年:ソニーがD-50発売(CDプレーヤー価格168,000円→1986年頃には10万円台に)
 1985年:日本レコード協会がレンタルCD解禁
 1986年:全国レンタルCDショップ数が急増(1985年約500店→1988年3,000店超)

●アナログからデジタルへの過渡期
 レコード→CD移行期で、消費者は「CDの音質をカセットに保存」する需要が発生
 カセットデッキは「CDのダイナミックレンジ(当時90dB以上)を如何にテープ(理論値60-70dB)に再現するか」が課題

2. 技術開発の方向性(1980年代後半)
■ 高級機種(5万円~15万円)
●コア技術
 3ヘッド方式の本格普及(1983年ソニーTC-K777ESⅡなど)
 メタルテープ対応(1984年規格統一後、各社競って開発)
 ダイレクトドライブモーターの採用(Technics RS-M系列など)

開発思想
1. CDの20Hz-20kHz帯域を可能な限りカバー ※V-680の周波数特性はメタルテープで20Hz-21kHz、クロムテープで20Hz-20kHzを達成
2. メタルテープでS/N比70dBを達成 ※V-680のS/N比は80dB(ドルビーC NR on、1kHz以上)
3. ワウフラッター0.04%以下(CDのジッターに匹敵)※V-680のワウフラッターは0.045%(WRMS)、DDを採用せずおおよその性能を達
※CDジッターとカセットテープのワウフラッターは、異なる次元の信号劣化要因だが、カセット録音時には「ジッターの影響をテープがマスクする」または「ワウフラッターがジッター由来の硬さを和らげる」という相互作用も発生する場合と、両者の時間に関する歪が加算される場合がある。また、デジタルオーディオで貸せと出来のワウフラッターをシミュレーションして、ビンテージカセットテープデッキの質感を再現するなんてことも今はできてしまう。

最適な録音には、低ジッターCDプレーヤーと低ワウフラッターデッキの組み合わせが理想。
■ 中級機種(3万円~5万円)
技術トレードオフ
 2ヘッド方式だがBIAS微調整可能
 ベルト駆動だがクォーツロック採用(AIWA XK-S7000など)
 ダブルカセット機の高機能化(1987年ソニーTC-WR590)
 3ヘッド方式はほかの機構とのトレードオフ

3. 社会文化的要因
●レンタルCDとコピー行動
 1986年調査:CD所有者の62%が「レンタルCDをテープに録音」(日本レコード協会調べ)
 1987年:CPRM(私的録音補償金)制度開始(1台あたり500円徴収)

●オーディオブームの変遷
 1980年代前半:スペック競争(ワット数など)
 1980年代後半:ソース機器(CDP)とレコーダーの性能向上に焦点

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各ヘッドタイプの特性 Ver.2
V-680の高硬度パーマロイヘッドはアモルファスヘッドが出現するまでの過渡技術だが、健闘していたのが分かる。
中古カセットで気製品では、損耗パーツが多いので、結果として、メンテナンス、保存状態が良いことが、何よりも優先される場合が多い。

4. 技術的限界と突破口
●カセットの物理的制約突破の試み
 ドルビーHX Pro(1985年実用化):高周波バイアス最適化 ※V-680は搭載
 非晶質ヘッド(1986年アカイ採用):高域特性改善 ※V-680の高硬度パーマロイヘッドは、性能はアモルファスヘッドと同等だが、高コスト。カセットデッキの黄金時代(1985-1995年)を支えた過渡期のコア技術」と評価。1980年代半ば~1990年代初頭、アモルファスヘッドの高コストとフェライトの性能限界の間を埋めたが、1990年代MD/CD-R登場で、ヘッド技術の進化の結果が経済的に成立しなくなる。これは高性能電子制御モーターとともに、現在、高性能カセットデッキがオーパーツ化した原因の一つ。

1980年代後半のまとめ
1. レンタルCD解禁(1985年)→「デジタルソースのアナログ記録」需要急増
2. メーカー対応:
- 高級機:3ヘッド+メタルテープ+DDでCDのダイナミックレンジ追及
- 中級機:簡易調整機能で気軽なCDコピーを可能に
3. 技術開発:
- HX-Proで高域歪み低減
- ワウフラッター抑制でCD並みの安定性
4. 社会背景:
- 私的コピーが合法ギリギリで横行
- アナログ/デジタル過渡期の暫定ソリューション

 その中にあって、本モデルは高級機種と中級機種の間の値段帯のニッチにあり、2ヘッドで、DDキャプスタン方式を取った機種と同様に、3ヘッドモデルでありながら、高精度電子制御モーターと極めて真円度の高いキャプスタンを用いることで、シングルキャプスタンで高級機種に肉薄する走行性能を確保し、高硬度パーマロイヘッドを使用することで周波数特性もCDの周波数特性範囲をメタルテープとクロームテープでカバーしている。この時代、音質に関する性能は確保しつつ6万円以下で、カセットデッキで利益を上げるためのギリギリの仕様だったモデルと言えるかもしれない。
 現在の状態が良いので、シンプルメカの走行系、ヘッドとも耐久性能については、しばらくは安心してよいかもしれない。これほど状態が良いものを安価で確保できたのはやはりノーマークのモデルだからだなぁと思った。Rouce/Tape切り替えても、ニアフィールドスピーカー的な視聴だと目だって変化を感じないので、音質、悪くない。
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 久しぶりに、思ったよりも安かったので、クロームテープの未使用品を手に入れたが、確かにミニスピーカー試聴でもヘッドフォン試聴でも、かなりの音質が確保できている。最近は、状態の良い中堅以上のカセットデッキが、本当に値上がりしてしまったし、状態の良いものをネットオークションでもあまり見なくなった。スレッドを参考にしていた海外のカセットデッキの専用サイトがどうやら沈黙しているようで、いや、この音なら、今試聴してても十分じゃんって思えるような個体を気軽に手に入れられる時代はそろそろ終わりを告げ、カセットデッキブームは終焉に近づいているのかもしれない。高性能の新型が、そこそこの値段で手に入るなんてこともない以上、クラシックカーなどと同じ、かなりの好事家以外は関われない世界に完全に入る直前かもしれない。私のようなプア・オーディオと同じような感覚で遊ぼうなんてのも、そろそろ虫が良すぎるカテゴリーとなっているのを感じているので、このTEAC V-680は、正に、私にふさわしい、崖っぷちのモデルかもしれないなと思った。
 資金に余裕がある方は、当時も高額モデル製品で、メンテナンスをばっちりやっている個体を手に入れれば、問題ない。4,5万ぐらいを上限に考えていれば、まあ、平和な世界だろう。それ以上は、マニア向け。
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 DDモーターにキャプスタン、走行性能が高く、アモルファスアロイヘッドを使用している結果、周波数特性もメタルでの上限が22kHzということで、このV-680よりもずっと有名で、中古市場で手に入るCPの良いカセットデッキとして、KENWOOD KX-880系(KX-880 KX-880SR、KX-880SR KX-880SRII、KX-880SRII KX-880G、KX-880G KX-880D、KX-880D KX-880GR、KX-880GR)がある。残念ながら、私には違いや優劣や中古機体の注意点などのノウハウや知識は私にはない。
 こちらはTEAC V-680に先立つ数年前から、リファインしながら続いたモデルで名器だと思う。私は、中古の性能維持のチェックが楽な3ヘッドに拘るので、手を出す機会はなかった。KX-880系は当時の実売価格がV-680よりも1万円ほど高く、これは販売年代が早いということもあるのだが、性能が評価されている結果でもある。良い状態の中古機体が手に入るなら、そちらの方も検討すべきCPの高いモデルだと思う。
 どちらにしてもカセットデッキはLPプレーヤー以上に、残存寿命はあまり残っていない。超美品確保の投資?でなければ、同じアホなら、今のうちに手に入れて音を楽しんだ方が正解だ。どっちもアホなら聴かにゃそんそん。
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追記ー手元のPCが、どれもまともなグラボも積んでないので(ゲームをしない人)、そのままだと、入力ジャックの音質のクオリティが低すぎてアジマスチェックや周波数特性チェックしようにも使い物にならなかったので、簡易のUSBビデオキャプチャーを入れて接続した。聞いたこともないメーカーのものがたくさん並んでいたが、とりあえず適当に安い方から検討して使ってみたらちゃんと使えた。
 アジマスについては、この個体はかなり優秀だった。リサジューがこんなに綺麗でピシッと決まっている個体は初めて見た。回転数のズレも99.99%とかなり調整されていた。ワウフラッターは試聴した感覚よりは少し悪くて、0.07~0.09ぐらい。
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 周波数特性の方は、クロームテープで18kHzぐらいで、カタログ値より低い。これも試聴した感覚では、不快な感じはなかったので、だがゆっくり、落ち方gなだらかだからだろう。3ヘッドカセットデッキだと、クロームテープのバイアスが、この機種ではよく言われているように、10時分あたりの短針の位置といううのが、ばっちりわかるのも、ありがたいところだ。
 中古のカセットデッキの性能維持は難しいが、このくらいのスペックが達成されていると、問題なく試聴できるのだなというのは、1970年代後半~1980年代のカセットデッキが、超高額フラッグシップモデルでない限りそのくらいより少し性能が落ちるぐらいだったと思われるので、問題ないのだろうなと思う。
 当時、カメラ、レンズにおけるアサヒカメラの「診断室」(メーカーが出してきたカメラのシャッター速度やカレンズ解像度を実際に測って、ちょっとカタログ性能出てないみたいですけど)みたいな雑誌の試みは、あまりなかったと思う。スピーカーなどはメーカーの測定した周波数特性図の開示はあったけれど、ひたすらオーディオ評論家の試聴体験による質的評価で終わっていた気がする。
 今は、千円ぐらいのパーツか下手するとそれも要らず、PCとフリーのアプリでこの程度の図は私語時でも描けて遊んでしまえるのだから、遊びのハードルは下ったといえるのかもしれない。
 一方でコミック「Dr.STONE」では、記憶装置として磁気コアメモリが登場しているが、あの世界でaudioを作るとなると、やはりデジタルのアプローチしかないだろうなと思ったりする。テープメディアとかそれでhi-fi録音再生するという機械が、今となるとどれだけとんでもない代物であったかと思ったりするのだ。

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このビデオキャプチャーカードが来る前にTASCAM DR-100IIIにアウトプットを流し込んで録音したものからWaterfallを描画させたものがこれ。リアルタイムで見られないので、バイアス調整とかはちょっと苦労する使い方だが、2ヘッド機同様のやり方で、使えないことはないかも

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by complex_cat | 2025-08-03 09:24 | My Tools | Trackback | Comments(0)

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