
オートリバースのカセットデッキについて書いてみる。
大抵モデル名にRが付く。そして再生ボタンが双方向、2つあるからすぐに違いが分かる。
オートリバースカセットデッキと言っても、いくつかのクラスターに分けられる。今ざっくり分けて記述したら、モデルの特性とかわかりやすい気がしたのでちょっと試しに書いてみた。年代とかは微妙に違っているかもしれない。
①メカニズム、性能に全く妥協がないもの
発売時価格は100K~200kの間ぐらいの値段がついている。各社のワンウェイ3ヘッドデッキのメカニズムを惜しみなく等ぬ有して、更にオートリバース機構を入れているので、余計にコストがかかっている。業界でのカセットデッキ専門メーカーのステータス確保のために出されたもの。諸らい的には普及期に下ろせるメカの実験場的なフラッグシップ機。TEAC R-999X ¥149,000/TEACW-880RX¥99,800はどちらも1985年製。出せたメーカーも出せた時代も限られた。これらの好敵手と呼ばれたGX-R8 ¥118,000/GX-R99 ¥168,000は1983年製だ。
Nakamichi RX-202(¥109,800)など、ヘッドもキャプスタンも基本メカは一方向仕様なのだが、オートリバースのときにカセットテープの方をロボットアームが引き出してひっくり返す、みたいなメカニズムを持つ。カセットデッキファンには一種の見世物になっている。1983年製品なので、やはり1980年代後期以降は、この手のモデルは出てこない。
勝手に手に入れる話:メカのメンテナンスのハードルが、オートリバースモデルでは更に上がるため、カセットデッキ変態道楽者向き。状態の良いものを探しのだけでも、秦の始皇帝の名で不老長寿の妙薬を探しに行った徐福並かもしれない。類はちょっと値段が違うがシルビアのコンパーチブルを維持して乗るみたいな話に近いかもしれない。そう考えると安いかも。
②CPのよい、割高感がないモデルとしてまとめたもの。
クローズとループデュアルキャプスタン、ダイレクトドライブ、3ヘッドの3つを外せば、そこそこの性能のものは作れた。年代によってヘッドとそれに合わせたアンプの性能で周波数特性などは中の中ぐらいに揃っている。状態の良いものを手に入れれば、適当なテープを放り込んで、エンドレスでながら視聴にはうってつけ。ヘッドの状態と、ワウフラッター性能さえ、カタログ値より数十%落ちるぐらいで維持されていれば、意外と音がいいなと思うモデルもある。Dolby Cは当たり前、圧倒的なノイズリダクション性能を誇る、ダイナミックエクスパンダーの覇者dBX搭載モデルまで出されたのが1980年代中期以降。曲間サーチなどで、ヘッドには負担がかかるようになっているモデルでは、音質劣化個体が多い。この時代の中古は、性能は良いが、あまりにも時間が経っているので、まともにメンテされている個体は少なく、あってもそれなりの値段のタグが付いている。私の所有するR-616X ¥59,800 1987年もこのグループ。個体はあたりで、ワウフラッターも十分な性能を残していて、dBXも初体験できた。この時代、Dolby Sが出るまでの間、dBX搭載モデルがTEACからはかなりの数、出ている。オートリバースモデルではない方の製品の方が主力だったと言えるが、YAMAHからの製品にもあった。
勝手に手に入れる話:このあたりは狙い目でオートリバースはメカも複雑になると思われて割とカセットデッキフリークからは高級機以外は割りと敬遠されるので案外穴場じゃないかと勝手に思っている。気楽にカセットデッキライフを楽しむにはここをいれると選択肢が広がって良いかもしれない。当たりを引けば、まずまずの世界が手に入る。
③基本、①と②の中間的な性能のモデル。
①の異常な変態仕様よりはいくつか、驕ったメカニズムは外されている。例えば、Quartzロックではないがダイレクトドライブ&シングルキャプスタンの変態モデルもある。1984年製のKENWOOD KX-990SR ¥89,800など、まだまだカセットデッキが、CDは発売されていてもアナログオーディオコンポの中で録音再生装置の主力だった時代の要請から。しかし、それなりの音質を求めたコスト投入モデルは1980年代でその役目を終わりつつあった。
勝手に手に入れる話:機種も球数も限られるので、状態の良いモデルが出れば、オークションでの競争は割ときついかもしれない。本当に、普通はそんな野知らんだろうチウモデルにちゃんとフリークは寄ってくる。今残っている個体で、実用品を探すとそうなるからしょうがないのだ。
③ミニコンポセット用。
1990年代前半、CD録音再生が当たり前に対応できる必要があったので、曲間サーチ、指定曲目再生など、リモコン、こんぽのCD等との連携児童録音機能などを持つ。水平ローディングメカを基本とする。残念ながら普及期なので、スペックは高くない。音質は1990年代前以降は、海外への完全な外注になった時点で、ラジカセ何み性能が落ちて消滅。
勝手に手に入れる話:競争圧は薄い。あまりクオリティにこだわらないで録音した資産を、気楽に流しておきたいみたいな需要には良いかもしれない。少なくとも2000年以降のカセットデッキ的製品に比べれば、これでもかなりマシだし、ちゃんとDolby B/Cは付いているし、案外使える。でも水平ローディングは、中を開けないとメンテできないが、弄り倒す癖のある人は結構、ベルト交換などの修理は普通位やっている。ある意味割と球数は残っている。気を付けないと録音レベルメーターすら付いていないから、機種を良く確かめたほうが良い。
DENON DRR-M10 ¥22,000(1998年頃)は当時も、ローコストモデルで、廉価なチューナー、CD、アンプ、スピーカーと組み合わされて売られていたもので、録音レベルを示すメーターなども存在しない。コストダウンのために徹底している。それでも、普通にカセットデッキの音そして、それほどクオリティの高いテープを用いずとも、より高性能なカセットデッキで録音したテープなら、流しっぱなしにする用途なら十分だ、ワフフラッターや周波数特性などのスペックが、とうとう出されないような製品となっていて、メーカーにとっての扱いもそんな感じだが、Kenwood X-SA7 と同等品のモジュールを使っているという情報もあって、周波数特性は 40Hz〜19kHz (CrO2 tape)みたいなデータもある。ミニコンポ用といえどCDの音質と、改めて酷すぎる音質だと、悪評が立つし天下のDENONだから、基本性能は、最後の世代のラジカセと同じレベルにはしてない。定価20,000円台ということから考えると、量産してラジカセよりもちゃんとした音で音楽を聴かせる製品としては、ちゃんとした性能で、音質も評価以前みたいな話になっていない。一番気になるワウフラッター性能も、2ヘッド機ながら苦労して測定したので、0.1%スレスレ付近だったので、前のオーナーのメンテや状態が良かったのだろう。試聴した感覚と一致した。多分、同世代のwカセットデッキよりはずっと音質がいいと思う。Dolby B/C Dolby HX proも搭載で、過不足ない。この手の盛り合わせは、枯れた技術でCPが大してかからないからその辺りはそうなる。
私はこの手の製品は、一台それなりの性能のカセットデッキで元テープを作ったら、再生専用機として使い倒すと考えて使えば、マニアは見向きもしないから安く手に入ることもあって悪くないのではと思う。自分で試聴した限り、聞くに耐えないなんてことはない性能だった。少なくともかくオートリバースの、現在新品で売られているラジカセかラジカセまがいの製品を買う1/4ぐらいの値段で状態の良い中古モデルが手に入るので、ずっとお得だと思う。ヘッド、ピンチローラーのクリーニングと、消磁に関しては、カセットテープ型のクリーナーやヘッドイレーサーを使えば、そんなに面倒臭くない。カセットテープ型ヘッドイレーサーは流石に今、新品では手に入らない。かつてはTDKなど数社が出していたが、中古の出品もAmazonでも見かけなくなった。カセットテープ型のクリーナーはすごく安いのが出ているが、湿式であるし、使えるかもわからん。使う場合は自己責任で。
私の基本は、今更ながらプアマンズオーディオに軸足があって、マシンミニマムとは言わないが、ミュージック・マキシマムなので、そういう使い方に帰着するかも。
④1990年代シングルカセットデッキの普及期
カセットデッキの領土が縮小し撤収戦のためのカセットデッキを必要とする人のためのモデル。カセットデッキ時代の資産がたくさんあって、まだまだ使いたいし、オーディオ録音機としてはまだカセットでしょ、みたいな時代。CDが出て、カーコンポにも載って、そちらのメディアを購入すれば録音への根津城も必要性もなくなり通ある時のCPの良いモデルとして出された。基本的なスペックは、全盛期のカセットデッキに比べるとかなり落ちるが、再生専用だったらそんなに気にならない人向き。それでもバイアス自動調整、曲選択、CD連携、リモコンなど飛び道具をたくさん載せてもらって闘いに出ていったモデル。 1990年代もはやハイファイ録音再生機の牙城はカセットデッキではもはや限界が来るであろうとわかったあたり、それでも撤収線までには間がある。ラジカセもオートリバースが当たり前になった時代では、オートリバース機は必然だった。
勝手に手に入れる話:これの系列の残存個体というか新品で売られていたりする。比較手時代が新しいので、もともとの性能は別にして状態や見た目が良品なものは手に入りやすい。ワフフラッター性能も周波数特性も全盛期のカセットデッキの中級機みたいなものをそうていするとちょっとアレって思うかもしれない。
⑤語学学習、速記者などのプロの現場用
カセットテープは音楽視聴ばかりではなく、語学研修や速記者などそのソフト資産の再生装置として、最後のフィールドが残っていた。カセットテープとカセットで機を作ってきたメーカーとしての責任と矜持としてのモデル。SONY TC-RX1000T オープン価格 1994年~2003年(全国点字図書館協議会推奨ボランティア専用 録音・再生時のテープスピード 2段階切り替え)やそれの最後の後継機としてのSONY TC-RX2000T ¥39,800前後 2003年(全国視覚障害者情報提供施設協会の商品化要請と企画 2倍速(9.6cm/s)、1/2倍速(2.4cm/s)の再生が可能;標準と1/2倍速では1~2倍での再生スピードの連続可変機能)がそれに当たる。
勝手に手に入れる話:何年か前にそちらの方のカセットテープに記録されている資料閲覧が必要になったと言って探したりする話があったが、流石に、あまり聴かなくなった。デジタル技術は、完全にカセットテープに対して上位互換で圧倒的な性能とデータの利用製の高さを誇る。できないことはカセットテープの再生ぐらいだ。だからカセットテープ記録のデジタル化みたいなのを考えると、少なくとも音楽的なソースでなければこちらも選択肢になったのだろう。カセットテープ音源のデジタル化を考えるなら、当然①というか、オートリバースではない性能の良い1980年代のカセットデッキを探すことになる。オートリバース高級機だと作業は楽かもしれないので①のクラスターで良いのかも。それをAD変換してデジタル化クラウドに置く流れになる。
⑥Wカセットデッキ
1990年代、デジタル録音機器が台頭するまでの期間、シングルカセットデッキではどんなに安くしても、限界となり、また音質を求めるユーザーは一部の変態を除き離れていった時代。CP含め付加価値を付けるには、2つの内蔵カセットデッキを搭載させ、連携させる。高速再生によるダビングや児童連携機構により「150分テープを使えば最大で5時間の連続録音・再生も可能だ!」「俺達まだやれます。戦えます。」みたいなモデル。すでに高かったら売れないので、驚くような値段です。ミニコンポにも入れてあったりするが、パーツや基本機構は、全盛期の面影も薄くなり、同じものだと思ったらだめだけれど、ラジカセよりはちゃんとした音が聞こえる。そんな製品郡。
勝手に手に入れる話:実はSONYなどは、全部リストに入れたら大変なことになるので入れてないが、モデルの数はかなりの数になる。やはりカセットテープ専門メーカーの教示だろう。カセットデッキの高性能機をう作っていたメーカーも、オートリバース普及機を出さねばならない時代になると、最早そんなにモデルの数を出せる状況にはなかったりする。
この
W-890R-Bもすでに生産中止で、Amazonで売ってるのは、新古品か何かのストックかもしれない。スペックはや音質は、Wカセットオートリバースの例外には鳴らず、かなりしんどいと思う。過去の資産のダビング整理というのも、デジタル化で資産が残せるしカセットテープの販売状況をみても、あまり意味があるようには思えない。私は間違っても手を出さないけど、人それぞれ野考えや事情はあるだろう。高性能の残存個体に、投資して手に入れる人も、今のデジタルオーディオが完成された世界では、かなりニッチな趣味としか言えないだろう。本当に良い音がするということについては異論はないが、デジタル音源を高級カセットデッキの音にエミュレートするみたいなのも、今はできると思うか、そこの個人の判断次第だろう。
「ローレンツ大佐 貴方な何故カセットデッキの音が好きなんです?」「It's ○○○○○!」という冗談を考えても、ここに何か、上手い言葉が入るだろうか。
Wカセットオートリバースのデッキはカセットデッキのクロニクルについて、特に撤収戦の殿(しんがり)を務めたこともあって、わかりやすいなと自分でまとめていて思った。海外のカセットデッキフリークも、特に日本製のカセットデッキの1990年代からの基本性能や音質について、カタログスペック以上に別物になっていく失望していく状況などを忖度無しで報告しているので、ととても興味深い。
この手のある意味お宝製品的カセットデッキのレビューについては、この人のチャンネルに勝るものはない。
※1. オートリバース関連メカ等番号について
1, サイレント&クイックアクション・リバースメカ(テープエンドのリーダーテープを赤外線で検知して素早く反転する)
2, 全国点字図書館協議会推奨ボランティア専用 録音・再生時のテープスピード 2段階切り替え
3, 全国視覚障害者情報提供施設協会の商品化要請と企画 2倍速(9.6cm/s)、1/2倍速(2.4cm/s)の再生が可能;標準と1/2倍速では再生スピードの調節(1~2倍)
4, ジャストフェードアウト機能、サイレント&クイックアクション・リバースメカ
5, A.R.H.S.(アキュライン・ローティティング・ヘッド・システム)による回転ヘッドシステム
5V, Victorファインアクシス・クイックリバースメカニズム(回転ヘッド方式)
6, Super A.R.H.S.による回転ヘッドシステム
7, A.R.H.S 3ヘッドメカニズム
8, 反射式IR(赤外線)センサー によるクイックリバース
9, 精密アジマス調整スクリュー
10, 2ヘッド、2つの消磁ヘッドが独自メカで対称性を確保
11, BSP(Bi-drectional Symmetrical Precision)メカニズム、アルワイドテープガイド方式、ロータリーヘッド方式、アキュレートリバースヘッドシステム
12, クローズドループ・ダブルキャプスタン&DD方式+3Head
*, Wカセットリバースデッキ
†, ミニコンポに合わせた水平ローディングタイプ。性能は平凡だが2000年代のものより高性能
一応ざっくりとしたものとして。調べたら各社が誇る関連メカの数も多く、複数のメカがセットになったりしていて、全部分けて記載するのが面倒になったので、「抱き合わせ」にしたものもある。
複雑な機械動作制御製品なので、Hi-Fi録音再生機器としては、もはや二度と作られないだろうというのは確かな話だ。カセットデッキの中でも、高額のオートリバース機はオーパーツみたいなものになってしまった。この時代、そういうものはたくさんあるのでしょうがない。
※2. オートリバースカセットデッキに付いては、他にもメーカーやモデルはあるのだが、今回はここまで。体裁も含めて細く修正を後でやるとは思う。なにか忘れている気はしている。
※3.Victorはリストに載せたが、AIWA/EXCELIA XK-R515 ¥39,000(1989年頃)やXK-W828 ¥49,800(1991年頃)などは割愛した。1980年代後半になると、本気で音質や一定の音質を確保したうえで、CPのよいオートリバースモデルは、開発、発売されなくなっていった。
※4 上で紹介したDENON DRR-M10はこのリストに入れていない。このレベルの製品を挙げだすとスペックも良くわからないものが多いし、手間がかかりすぎるという判断から。
AIに描かした高級オートリバースカセットデッキ。ボタンの記号表記が「宇宙人語」になるのと文字情報も与えているけど、そちらもまともに描いたことがないのは、そういう仕様なのかもしれない。猫は可愛い。
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