残暑猫
2005年 09月 23日
未だ残暑厳しく,でも,少しずつ過ごしやすい季節になりつつあります。南九州は,春と秋が短く,11月ぐらいまでTシャツで昼間は過ごせるくせに夜は冷え込むという状況になり,いきなり冬になります。気候の変わり目,今年はインフルエンザについても,またまた拙い材料が多い状況のようです。季節の変わり目,気をつけましょう。
干したばかりのお日様の匂いのする布団で,直ぐに寝るやつがいます。私が仮眠から目覚めたらこの状態。
「ン? ジットリ」
公陳丸は階段の踊り場近く,風通しの良いところで,涼んでいました。
「シュタッ」
こうやって写真を撮るために私がその場に身を置いてシャッターを切ると,直ぐにチコが反応します。目を覚まして布団の山から飛び降りて私のところに。公陳丸を撮影中だったのでピントは合わせられず,とりあえずシャッターを切っただけの画。
「クイクイ,ビヨ〜ン」
トレーニングウェアの足首のゴムを使って,いつものように爪と牙で「あやとり」。
「オッ」
先輩発見。じっと公陳丸を見て何を考えているのだか。公陳丸は,チコがいきなりじゃれかかってくるかも知れなくても,いつもの通り穏やかな顔でチコを見ています。
「ドテッ,フワ〜ァ」
そのまま,チコは公陳丸の横を抜けると,同じく隣に転がりました。
二匹の穏やかな絡みを見ていると,こちらも眠くなってきます。
Canon EOS Kiss Digital N, Carl Zeiss Distagon 1:2.8/25 T*
夜行性の哺乳類ばかり相手にしてきたので,鳥はもちろん,余り直接観察が可能な哺乳類を扱ったことがないのですが,例えば,ここで,両者の関係を解析するためのデータを取ろうと思った場合,グルーミングのような能動的な親和行動がこの場合,どちらも行っておりませんから,案外簡単ではないのですが,両者の空間的距離が交錯する一方で攻撃的な行動が皆無であることをパラメータ化するというのが一つの方法です。
この場合,秒単位の時間データとその時の二個体の座標位置を取るのは,2個体ぐらいだったら何とか可能です。また,もう少し空間移動の距離があって,複雑且つ短時間で変化が生じるようなシーケンスならば,観察対象をチコだけに限ることで,観察の煩雑さを避けることが出来ます。更に連続観察がきつくなれば,time laps(時間サンプリング)による有る時間断面における位置と行動をデータ化する方法があります。もちろん今時ですから,ビデオという手もありますが,神の視座で撮影することは出来ないので,何処かが抜けてしまうか,或いはパンで全体を捉えることで後で何をやっているか確認しようと思ってもよく分からなかったり,それを十分な精度で撮ろうと思うと他の個体がフレームから切れていたり,ピントが合わなかったりします。研究費が潤沢にある研究室は,学生さんにハイビジョンビデオを持たせられるかも知れませんが,それでも,撮影することとデータを取ることの両方を矛盾無く行うことは,特にほとんどの学生さんには無理です。例外は,エンクロージャーのように動物の行動がある一定の範囲内に制約され俯瞰的に観察が可能な場合だけで,実験動物行動や家畜行動分野では使われておりますが,あくまでエンクロージャーの行動影響を無視して良い世界でのみ通用する手法です。小型の無脊椎動物であるなら,野生動物でもこのセオリーが通用しますから,よく使われます。また,実験系の方が野生動物を扱うと,このエンクロージャー影響の意味がしばしば理解されていなかったり,ということもあります。
いずれにせよ,このように,動物の生態や行動については,非常に簡単なことでも検証や・証明を行うためには,それなりの組み立てやデータ取りのセンスと労力が必要なのですが,これが理解できない「専門家」が,マクロ生物系の行政が絡む諸問題には,少し多すぎるような気がしております。何故そうなるかという話は,また別の機会に。
2枚目の公陳丸カット、傑作です。
布団をしまうためにベランダに出ると、その音を聞きつけて慌ててやって来ていました。
最後の2匹一緒に寝転がる画ですが、チコちゃんが大きな口を開けていますね。欠伸の瞬間ですかね。
ほのぼのネコ生活カットから難しい話に展開するあたりがcomplex_catさん。
観察・検証の客観性をどこまで追求できるか、これは臨床での研究もそうですが文献研究でも難しい問題ですね。
かつて研究論文を書いていた時期がありましたが、検証する環境を設定した時点で通常とは異なる空間となるのは避けられないと思います。
そのような検証記録を撮ったビデオ映像をこれまでに何度も目にしました
Lilywhitesさん,実は私も,猫が飛んだりするシーンを撮るのが好きです。これは成功してませんが,結構気に入っております。
summilux35さん,私の分野は,追試や検証実験が難しいので,科学ではないと揶揄されたりすることがあります。
猫相手に観察やデータの取り方の検証をやったりしてます(笑)。
最後のお気楽なあくびをしながら寝そべるチコを見ていると,楽しいと云うだけなのですが。
ウタタネしててプイッと起き上がり、ノビィ~っとしたときのあのディティールがとても好きなんですが、家の中だと光量が足りなくて分けわかんないボケボケ写真になってしまいます(涙)。
友人もブレッソンのように壁からシュタっと飛び降りる猫を撮りたいらしく、何年も撮り続けています(笑)。