屋久杉工芸
2005年 11月 21日

本来,屋久杉と呼ばれるスギの品種は,もの凄く成長が遅いのを特徴とします。大量の雨で土壌性分が流出する貧栄養の土壌にあって極相林を形成するまでに適応したため,5mmもない未生のようなスギを年輪解析すると20年ぐらいの寿命を既に持っていたりします。この屋久杉,宝の樹なので,当然本土で育てたらと考える人もいるわけで,実際それをやってみると,じゃんじゃん大きくなるそうですが,材として,全く使い物にならないということです。まさに,「屋久杉」とは,この島の固有品種と屋久島の環境,そして悠久の年月のコラボがあって初めて作り出されるというものです。
これだけ貴重な材であっても,本土で加工した方が付加価値が着いた製品を作り出しやすいため,材料を横流しして食いつないだ現地の工房も少なくありませんでした。その結果,ちゃんとした材料を向こう何年も十分に確保している工房はごく僅かです。
また,民芸風のワンパターンの製品は,若い消費者の注意を引き留めることなく,その桁違いの値札を見ても,どうやっても欲しいと思うようなデザイン,製品はどこを見渡してもなかなか見つけられません。
ただ,やはりあるのです。日本全国レベルで考えても,高度な木工の技術を持ち,屋久杉という素材の特性をギリギリまで引き出して,見事なアートに仕立て上げるレベルの工房が。

画像は寸分の隙もない花台。

このデザイン,いろいろな方が真似をして今では,一般化しておりますが,オリジナルの作品は,全く別の次元のものです。値段は,やはりそれなりですが,気が狂いそうな工程数がかかっております。



以前長良川の支流の板取川で氾濫寸前の大雨が降った後に流れてきた巨大な檜の株を見ましたが、やはり緻密で玉杢のような木目が出てました。何百年、何千年、も地中に埋まっていると何かの作用でこうなるんでしょうか?しかし材料がもう採れないのはいかんともしがたいですね。
屋久島でも同様のこと(台風直後,巨大な切り株が河口に流れ着く)がかつてありまして,伐採禁止処置以降,秘密裏に切られていた地域の「遺産」が流れてきたのではないかという噂が立ちました。

