ロングラン・レポート〜EOS Kiss Digital N/X
2008年 01月 04日
ほぼ3年前に購入したKiss D Nと後継機Xについて,少し纏めてみました。
まずは長所から。

はっきり言って,私の道具はフィールド使用を前提にしておりますので,大事に使うにも限界があります。京セラCONTAXが主戦機だったときも,世界で一番可哀想な・・・と言われていました。防水? 雨の中で撮影しないカメラなんぞあり得ない,耐衝撃? 崖から転ぶときもカメラと二人連れという状況。自分のカメラ史においては,OLYMPUS OM-1N/4,MINOLTA α707Si/Sweet IIなども先行して長々と使ってきました。それらのカメラと比べても,キスデジは図抜けて丈夫です。今時の電子カメラにあってこの頑強さは,特筆ものです。カメラは壊れるのではなく(ユーザーが)壊すのだと仰った方がおいででした。そうかも知れませんが,壊せないカメラといっても良いほどのタフネスぶりです。エンジニアリング・プラスティックのボディは,マグネシウム・ボディなんてただのはったりだと教えてくれます。実際,剛性確保はプラスティック・ボディでも十分らしいので,今時の傾向としてメーカーがマグネシウムボディを奢るのは商品イメージ戦略ということもあるようです。高く値段を設定しても皆さん納得されますしね。
Canon EOS Kiss Digital X, Canon Zoom Lens EF 75-300 1:4-5.6 III
ともかく携帯電話並みに丈夫で,なぜ,それを売りにしないのか不思議になるところも携帯電話と同じです。少々の雨の中とか,沢にべちゃっと浸かるとか,瞬間水没にはT-proofよりも強いです。後のケアを十分してあげれば,その後もノートラブルで動いてくれます。クイックリターンミラーのメカ部分は,作動するところなので,衝撃に際しては勝手に動いてしまって,ミラーが割れたり結構弱いのですが,それ自体が小型であるということもあるのかもしれません。Unbreakable body!とは,ブルース・ウィルスやゲキ・レッドではなくこいつのことだぁ! イメージはKissではなくHead batですが,それでは恋人に頭突きを食らわすみたいでみんな引きますな。
2)小型軽量が凄い!
壊れにくいことについては,この小型軽量と言うこともかなり寄与していると思います。高額機は重く大きくなる分,余計に丈夫にして更に重く大きくなります。軽く小さなボディは,落としたときの衝撃も小さくて済みます。小さいボディは安いコストで丈夫なボディが作れます。ウミスズメの雛が断崖絶壁から転落しても死なないのと同じ(同じか?)。今時もっと軽くて小さい一眼レフが出ましたが,APSサイズの画が得られる1G機で500ちょっとしかないボディ重量は絶妙で,これは,発売当時から大きな性能だと思っています。ちなみにKissの重さは当時小型軽量でぶいぶい言わせた,世界のジャーナリストの肩を糞重いF○から開放したと当時のOlympus開発者であった米谷さんが感謝されたOMボディとほぼ同じ。バランスも良く,塊感のあるボディは,手の小さな私には未だにベスト・デザインです。

AFのセンサーはその後の激しい競争に曝されている製品でありながら,未だに良くできているそういうレベルです。比較的ワイドエリアですし,飛翔中のツルにも疾走中のチコにもジャンプ中のナッチにもちゃんと合焦します。この性能は日進月歩で上を見ればきりがないのですが,とりあえず低照度にもまま強いし,現在でもこの値段では十分な実力があります。

EFレンズの高価なシリーズは,縁がないのですが,実際レンズに投資できれば,何の文句もないでしょう。残念ながら,安いレンズの写りについては,このメーカーの戦略とも思えないのですが,それなりに写ると云うよりは,他のメーカーの廉価版レンズと比べると,かなり酷いと私は思っています。その意味では,昔の,いわゆる入門レンズであった,EF 50mm/f1.8はちゃんと一眼レフのシステムの凄さを教えてくれるHCPレンズであることに変わりなく,評価できます。残念ながら世界の半分は切り取れるという標準レンズの画角はAPSサイズなので達成できませんので,短望遠レンズとして使いこなす必要がありますが。30mm/f2.0あたりの単焦点をメーカーが本気になって作ればよいと思うのですが,コンデジのズームから今のユーザーは入ってしまうのが,ある意味残念です。
Canon EOS Kiss Digital N, P.ANGENIEUX PARIS 1:2.8/75 TYPE Z5

Canon EOS Kiss Digital N, A.Schacht Munchen Albinar 1:4.5 /135

5)画質,発色の安定が凄い!
ノイズの少なさ,AWBの安定性に関して3年前では,トップクラスでした。今でも基本その性能は十分です。各種変態レンズやヤシコンZeissを填めてrawでなくjpegで撮って,おーこれぞZeissの発色!なんて言ってられるc_Cですが,十分夢に浸れる画質であります。ノイズの少なさについては,未だにこの値段帯ではトップクラスです。
Canon EOS Kiss Digital N, A.Schacht Munchen Albinar 1:4.5 /135
さて,ここまで褒めちぎりましたが,以下の部分は,メーカーに言わせると値段なりということなのでしょうけれど,競合するメーカーは頑張っているわけで,そういった意味ではモデルチェンジ後にネガを潰して来る可能性も高いので,現行機種に手を出す場合,覚悟しておくと良い部分とご理解下さい。

うーん,ファインダーは,基本的にマニュアルフォーカスで使うなどということを考えてはいけません。ペンタプリズム・レスとフォーカシングスクリーンにも高額機は別にして,特に売りのない本機のファインダーには何の機体もしてはいけません。間違っても,安っぽい変態クラシックレンズを着けてファインダーを覗いて悦に入ろうなんて思ってはいけません。そんなのは,メーカーは認めていないのですから。とっかえひっかえ昔のメーカー外レンズを填めて撮るなどというユーザーは,メーカーにとってはクレイマーか逆立ちして皿回ししながら写真を撮る人間と同じ非常識人です。ヤシコンなんか填めて電子マウントアダプターでのブログ検索が上位に来るなどと喜んでるユーザーは困りものです。レンズ売れないし。だから,そういう人はファインダーの悪口を書いてはいけません。
Canon EOS Kiss D N, Schneider-Kreuznach Curtagon 1:2.8/35mm
他のメーカーが廉価版普及デジイチでもファインダーにコストをかけて,ピントの山を掴めるように頑張っても,このメーカーとは関係のないことです。だから文句を言うのは筋違いです。フィルムのマニュアルフォーカスカメラしかない時代のどんな安物の一眼レフのファインダーよりもこのファインダーは,全くお話にならないくらい酷いなんて話をしてもしょうがないのです。アキュートマットを削って押し込んでも無駄です。前ピン傾向はスペーサー抜いても直りません。ちゃんとAFで使いましょう。細かくフォーカスを弄って目に合わせるとか,そんな真似はしちゃ駄目です。
ちゃんと使いたいならフォーカスしたい部分にAFエリアをあわせましょう。中央一点しか上手く合焦しなくてもコサイン誤差が出るので,そのまま動かさずにシャッターを押しましょう。なに,Xなら1Gありますから,画像をトリミングして使えばいいのですよ。時代が違うんだから。がんばってMFしようにもファインダー自体が小さすぎて,特に老眼の進んだ人には無理です。どうせみんな最後は爺婆,老眼になってAFに頼らざるを得ないのです。私もそろそろ危ないか。早めに達観してMFでのピントなど諦めましょう。
あれ? 援護になってないか。
2)TFTが酷い
Xになって今時のでかいモニタになりました。これ以前のNのモニターなど,よくこんな大きさで使っていたなと思うくらいですが,私はこのモニタで本気で画像チェックする気はないので,平気です。ただXのモニタも,色再現性は酷くて,撮影時なんかイマイチだなぁと思ってパソコンで見たとき,良い意味でのショックがでかいです。色が違うって? 実際はもっと綺麗に撮れているから心配しないの!
Nから比べると大型化したモニタの性能も,実際はそれなりのコストダウンの結果だということです。この辺りはモジュールメーカーの都合もあるでしょう。Xactiの廉価modelのモニタの出来を見ても,次はもう少しマシになっている可能性も高いかと思いました。こういう部分は,本当に僅かな時で進んでしまいますので,発売当時での比較以外は余りしたら可哀想です。だから,モニタについては,今,その辺の大型モニタを積んだたたき売りになっているコンデジとだって,例え悪魔が囁いても比べてはなりません。
そうそう,省エネ機構のアイ・スタート式のモニターは胸からぶら下げたら点灯しっぱなしです。これが夜間の撮影時には結構眩しいのですが,モニタ切るとファインダー覗くまで,撮影情報も何も見えないのでいろいろ面倒です。上部に液晶だけの撮影情報表示液晶を持たない本機の場合,その辺りが難点といえば難点です。
3)電池の保ちは許せるけど長くない
本気で使うときは,必ず呼びバッテリーを2本ぐらい用意しましょう。1本で足りますけどね。それは,こまめにスイッチを切って使えばの話。特にXは電気を使わない,液晶だけの表示モニターがバックライトを使う大型モニタに一本化されてしまったので,Nに比べると電子回路を弄ったりして省エネに徹してますが,電池の保ちは悪くなりました。
4)そろそろモデル末期
Kiss D Nの基本設計が良かったこともあって,1GにアップグレードしてXまで引っ張りましたが,No1の座を滑り落ちたCanonさんとしては,この普及クラスでのてこ入れは絶対に必要になります。まぁ,メーカー全体として,カメラ部門がどういう位置にあるかということも微妙ですし,丁度てこ入れをする都合の良いアドバンテイジのある技術も一息ついちゃったところです。とりあえず,40Dのライブビューをモディファイして,Kissクラスに相応しく,例えば松下などで先行する画素子によるフォーカシングのモードを持たせて顔認識や笑顔認識機能など入れてどんどこコンデジ的にしていくのも一つの手でしょう。先だって,有る忘年会の記念撮影時,私が撮って撮影を後退して貰ったら,その方が,このカメラモニターに何も映らないと首をかしげて訊かれるのです。そう,コンデジみたいにスイッチ入れてずっとモニターで見ながら撮影というカメラから始めたユーザーにとってみれば,一眼レフ・ファインダーを覗いて写すなんて考えもしないことだと,その時初めて気が付いたのです。
そういえば,一眼レフって首からぶら下げて歩く人を,観光地でもほとんど見かけなくなりました。凄い売れていますが,一方でこれだけコンデジや携帯デジが普及したところで,一眼レフ自体を必要としないユーザーもおられると思います。
だって首からぶら下げるなんて,オシャレじゃないでしょ? 小ささはともかく,これから彼のメーカーが突っ走るつもりの有機液晶技術などを使って,薄〜いキスデジというのもありかも知れません。いち早く定評のあったEOS 1Vを含めた銀塩機を作ることを止めたメーカーなので,一眼レフファインダーをラインナップから消してしまおうとかいう動きも,このメーカーが一番かも知れませんね。多くのメーカーはコンデジの延長線上にあるハイエンド機にAPSサイズの画素子を積む気も無いわけで,実際それが,一眼レフ型デジカメとそれ以外のコンシューマデジの本当の意味での区分を決めているわけです。Foveonを搭載のSigmaの試作モデルも,いっこうに出る気配はありません。高級コンパクトとして出そうとするから,リスクを考えてしまうのだとしたら,これは一考が必要です。そこから思いつくことは,他のメーカーがペンタプリズムや高倍率の光学系を搭載して悦に入っている一眼レフのアイデンティティをばっさり切るなんてのはどうでしょう。一眼レフファインダーなどというコストもかかる原始的なものを搭載しないで高細密ビュワー搭載のフェイク一眼レフAPSコンパクト機,これが次世代目指すべき,Kissデジの正体です。だから,本機の一番の瑕疵は,中途半端なファインダー搭載を前提にした最後のモデルだということです。キスデジは,次世代機からワープします。
って,今,思いつきで書いたから信じないでね。ちなみに,勿論私は,光学ファインダー擁護派で,それが無くなったら真剣に困ると思っている人間です。人類の資産だと言ってちんけな古びたレンズを着けて,ファインダー覗いてニヤニヤしながら悦に入るにも,いちいちスイッチを入れて通電を必要とするカメラなんて冗談じゃありません!
電池も消費せず,光だけが勝手に仕事して,見事な像を見せてくれるローテクなハイテクの一眼レフ・ファインダーがいったいいつまで存続するのか,考えるとかなり心配になってきました。
Nikonも持ってみる?シャッター押してみる?覗いてみる?
私は大満足してるよ。
レンズの選択自由度というか,使うレンズに関して変なことを考えなければ,素のカメラとしては,dojouさんお奨めの通り,kanaさんのD40/40Xの方がよほどしっかり出来ております。良いカメラだと思います。更に軽いしですし。Nikonも上から下まで引かれるのですが,レンズ資産を持たないですので,結局ソニーαになりました。それ以外のレンズも結局Kissデジで全て使えてしまうので,贅沢できないのです。
オートフォーカスまかせで写真を撮影する分には殆ど不満がないでしょうね。
オートフォーカス任せの撮影には,多くの限界がありますが,一方でMFのみの撮影も限界を感じます。両方使いやすいと言うことは,一眼レフでは必須でしょうね。
…あ、忘れてた(爆)ステージの写真を撮りたいんですよ、猫以外には。
わー もうわけわからん(汗)
えええええ~選択肢増えちゃった(困)
