咬癖のある猫への対応 #1
2008年 01月 06日
Violence Catについての考察という拙エントリーにmomikoさんから,ご相談のコメントを頂きました。私の所に書き込まれるということは,切迫しており,藁にもすがる思いなのではと思いますし,ご本人の良識も苦渋もどちらも伝わってきます。何とか出来ないかなと,考えるも直接観察できない状況もあって,どうしても一般論になります。
まずは一回目,今考えられる材料でアーティクルを立てて,それから考えてと思いました。ここをごらんの方で,良い知恵が有ればお知らせ下さい。ご相談の内容は以下の通りです。
はじめまして。飼い猫が凶暴になってきてしまって困っています。
ご相談させてください。
うちには2匹の雑種がいるのですが、メスねこはおとなしいのですが、オスねこが、昔から小心者というか、ビビリで、さらに最近ではどんどんわがままになっています。
夜中や明け方、おなかがすいてくると、むりやり私を起こして、起きるまではなんでもしてきます。
甘かみではなく、かもうとしてきたり。
そして、さきほど、久々に来ていた彼氏の顔にかみつきました。
彼はもともとネコはキライではないのですが、少々アレルギーぎみで、最近のこのオスねこの様子がどんどん凶暴になっていくせいで、恐怖心がめばえてしまったようなのです。
なぜ、こんなに凶暴になってしまうのか。
なおせないのか。
どう対処すれば良いのか。
なにかご意見いただければと思います。
・・・・まずはご質問について・・
甘かみではない。。というのは、はい、血が出てます。
だらだらというわけではありませんが、ひっかかれたような、跡がのこるくらいに出血してしまいました。
年齢ですが、計算の仕方とかはわかりませんが、生まれて8年くらいです。学生の時に人からもらってきてからずっと暮らしています。
2匹は兄弟です。
小さいころから、ふたりとも甘えん坊でしたが、メスの方が堂々としていて、オスの方がすぐに動揺するような感じでした。
わたしは毎日一緒にいるので、オスねこ君の、気分の振れ幅が大きいのも、がまんできなくなったら凶暴になるのもわかっているので、その時々で対処しているのですが、たまに会う人には本当にショックで、恐怖なようで、ネコ嫌いになりつつあるようで、悲しくて。。。
本当に、突然の相談にもかかわらず、ご丁寧にありがとうございます。
わたしとしては、ネコにストレスをためさせないように、自分がおだやかでいられるように過ごすことが大事なのかなと思ってはいるのですが。。
一般に,子猫のうちは,酷い咬み癖のある個体も,飼い主とのコミュニケーションの中で咬むという方法を選択しなくて良いと理解するにつれて,攻撃性はなくなりますし,また噛み方も加減が分かるようになるので,ダメージを与えるような咬癖が延長することは希だと理解しております。雄猫の場合,筋力が強いので,甘咬みでも結構痛いのですが,それでも出血するようなダメージを与える様な噛み方をするのであれば,これは一寸違うわけで,かなり困った状態です。
以前のアーティクルの覚え書き通り,シャムネコの一部や,品種に関係なく特定の個体においては,ともかくダメージを与える噛み方をいきなりするという行動が消えず,それなりに,咬む個体として飼い主も遇することで何とか一緒に暮らしている例も珍しくありません。それが攻撃行動と見るのは難しい場合もあって,変形されたコミュニケーション手段のように見える場合もあります。日本猫は,海外では品種固定されて,その性格の良さがぬきんで居ると言うことを理解していないと,いきなり咬んだりする猫というのを考えるのは案外難しいかも知れません。
momikoさんの猫君の事例は,伺っているとかなり特殊で,8年も兄妹となる猫と一緒に飼い主さんと暮らしてきて,咬癖がどうしようもなく酷くなるという事例は,尋常じゃない数の様々な運命の猫と関わってきたNGOの友人にも聞いたことがないと言われました。
その咬癖のある猫君が環境の変化を感じ取ってストレスを感じているのでしょうけれど,攻撃は学習されていくので,そちらの方向への変化はただ受け身だとエスカレートしがちです。どうすればよいのか,momikoさんは,私のブログに書き込まれたぐらいなので本当に困っておられるのだと思います。
猫君がmomikoさんとの関係において,なんらかの変化を感じたかどうか,立ち入った話を伺っておりませんので,分かりませんが,例えその方の生活の状況が変化しても,それは人生において避けることが出来ない変化なのであれば,もとに戻すわけにも行かないでしょうし,避けたくてもmomikoさんが生活しておられれば,いろいろあって当たり前だと思います。問題は,ストレスを感じて咬癖が過激になってきた猫君に対してどうすればよいかですよね。
状況から,マンションの室内飼いという風に勝手に読み取っておりますが,部屋飼いの子は君が好きだ,君が大切だ,いつも君と一緒にいたいという信号を与え続けてやらねばならないと思います。momikoさんも気が付いておられるようですが,変わらず安定して上げることが寛容です。今までゆったりと飼い主さんと猫2匹で暮らしてきた環境になんらかの変化が生じているのであれ,思い当たることがないのであれ,今までよりも更に彼に意識を向けてやるしか,この危機を乗り越える方法はないのではないかと私は思います。
以下に,余り足しにもならないかとも思いましたが,とりあえずたたき台として以下のことぐらいしか思いつきませんでした。
1)彼の好きなことを沢山して上げる
基本的に彼が一番楽しいということを沢山させて上げるということです。それも彼のスケジュールに合わせて。あまり思いつかないという場合は,もう一度猫君をよく見て考えていくしかないでしょう。この辺りの知恵は,残念ながら私は部屋飼い経験が少ないので,余り持ちません。たとえばの話,チコとワンルームマンションで暮らせといわれたら,お互いお手上げです。
お散歩,ドライブしてみればといえば,冗談だと思われるでしょうか。いきなりやれば無理でしょうし,8歳という年令を考えれば,返ってストレスを大きくしてしまいます。咬癖が有ればクルマの運転は危険ですし,クルマの乗り降り時のトラブルを考えると無茶な話です。基本的に,彼が何が好きな猫君であって,何をして上げればストレス解消をさせて上げられるのかという意味でご理解下さい。ただ,お散歩,ドライブなどのオプションを持っている猫ちゃんは,部屋飼いストレスに曝されにくいと思います。
2)部屋のレイアウトの検討
どのような猫においても,ストレスや回避欲求が生じたときに一時的に姿を隠せる場所が必要で,マンション飼いでやっておられる方々は,その辺りかなり上手くやっておられるのだと思います。室内しか利用空間がない場合は,部屋のレイアウトなどを見直すしか手がないかも知れません。立体的に空間を利用できるような構造を最大限部屋に構築して上げるなどの手も必要かと思います。既にいろいろされているのであっても,もう一度見直してみてはいかがでしょうか。立体空間利用は,多くの樹上利用可能な哺乳類にとって見かけ以上に行動圏の拡大になります。
3)お客さんとの協力関係の見直し
誰でも猫が好きなわけでもないし,猫との接し方を理解できるわけでもありません。ただ,おいで頂ける方は,比較的ご本人は猫に対して平気だと思われていたのでしょうけれど,猫君の反応を見て,ストレスが溜まる状況に際しては,それを回避して貰うように理解を求めるしかないでしょうね。猫君か彼かの選択の問題にしてはいけませんし,それはおわかりだと思います。
気楽にというのが大切だと思います。いろいろなものを背負わずいけたらよいでしょうね。どうか達観して下さい。猫君の場合,咬癖は攻撃ではなく,かまえ〜信号,注意喚起のようですし,猫君の方からコミュニケーションをとろうとしていることは確かなのですから。
月並みな答えですが,こんなところで申し訳ありません。 また,思うことがあればなんでも書いてください。
kyokoさん,みゃ♪さん,なにかお知恵ないでしょうか?(最初から他力本願)
画像は,熱帯魚屋のみーちゃん。ガブリエルでした。熱帯魚屋さんでしらっとネコを飼う,金魚にも手を出したりしませんでしたが,出したら出したで対応すればいいというこの大らかさが素敵でした。
more以降はこの問題とは基本的に関係ありません。
我が家も公陳丸は,次々と生まれてきた私とワイフの息子たちを受け入れ,5匹の義弟妹も受け入れました。子供が生まれたからと彼がストライキを起こしても,どうしようもありませんでした。ただ,幸いにも,公陳丸が極めて許容能力が高い個体であったこと,といってもおっとりしている子ではありません。ストレスが掛かったときには,私に数ヶ月以上も残る深い傷を負わせました。簡素な坂道の多い住宅街にある古い一戸建ての借家住まいから出発した私たちは,大家さんの計らいもあって,彼を自由にさせてやることが出来ました。現在も,マンション暮らしではなく,一応猫の立体空間利用にあった2階一戸建てである上に,彼は自由に原っぱや畑などに出掛けられる状況であったわけで,その辺りは,事故リスクとトレードオフですが,幸いなことに幸せな自由飼いをさせてやることが出来て,公陳丸にしろチコにしろ現在に至っております。
恐らくその猫君は,幼獣期から成獣期になるまで,飼い主さんの愛情と姉妹と一緒ということもあって,比較的ストレスを感じずに暮らせたのではないかと思います。
我が家でもナッチはストレスを受けやすい子で,特に末っ子の悪戯盛りとバッティングしてしまったので,おどおどした性格が助長されてしまいましたが,深夜に固唾獣をするワイフにべったり甘えられる時間は,彼女には与えられております。また,ワイフと長男以外から触られたりすることに対して,それなりにストレスを感じやすい個体なのですが,それでも,そういう個体においてこそ,距離をとってでも親愛の気持ちを伝え続けて,こちらが警戒しなくても良い相手なのだと理解させることは,猫のストレス低減には非常に大切だと思います。慣れていない個体は,慣れていない状況のまま放置することは逆にその個体のストレスを低減させないと思います。だから,人間と暮らさざるを得ない猫がストレスを感じる個体であればあるほど,人間側がより深い親愛を示し続ける必要があると思います。ずっと一緒に暮らしている人にも大変なことですから,お客さんや友人たちに協力を求めるのは大変だと思います。でも,飼い主さんがその猫君のことを信じて守ってやるしかないのですから。 ちなみに前のアーティクルで書きましたが,友人は年末に,勘違いした里親さん宅で行方が分からなくなっていた猫をフェリーを含めて往復5時間の道のりを毎日通い,正月3日にとうとう保護したそうです。大げさと思われるかも知れませんが,私が少年期に見た映画で,エルザの子供たちを保護のために捕獲するアダムソン夫妻の粘りにも似た愛を感じました。もはや単なる猫好きというよりは,彼女の場合,責任感と愛の塊という方が正しいのかも知れません。
一般化できるかどうか微妙ですが自由飼いしか知らない地方の年配の方に里親になって貰うと,ただでさえ慣れていない猫をそのまま放置して,猫はそこから逃げ出し,苦労して捕獲して里親を捜してそこに至った人たちの労苦が水の泡になるという状況が結構生じているようです。少なくとも,飼い主と飼い猫の信頼関係が構築されるまでは外に出さないで欲しいと再三説明しても,猫の飼い方において,自己流の思いこみが常識化している方々には通じません。腹が減ったら戻るだろう,戻らなければ,どこかでよい場所を見つけたのかもでお仕舞い。この無責任な達観と保健所に処分される前に野獣のような個体を捕獲・保護してちゃんとした飼い猫にして天寿を全うさせようとする友人たちとの温度差は,かなりのものがあります。友人たちの方は,最後の詰めの里親の考え方の違いというか無責任な感覚により,わざわざ苦労して別の場所に猫を放り出すに等しい状況になります。また,その手の人たちの愛情のかけ方というのは,ある意味単純ではあって,猫を愛していないと一概に批判も出来ないのが難しいところです。完全外飼いなどというのは,まだまだ日本では普通に見られますし,それを原理主義的に断罪するのも変だなと思います。
せっかく名乗りを上げていただいた里親の方なので,なんとか理解してもらえないかと考えるのは自然の流れです。獣医さんに連れて行くとか,予防接種をするという発想がそもそも無い中で,ネコを飼うという行為が存続していることを,無碍に批判するのもなかなか難しいのです。うちのチコですら,屋外デビューに関しては,我が家に来てから1年以上経ってますし,徐々に様子を見ながらです。飼い主も一種の博打であることは確かですが,個体の特性を見て,半自由飼いをさせない方がよい個体も判断せねば成りません。やっぱり博打で,もうできないかなとワイフと話し合っています。
咬癖のある猫への対応 #1 余の辞書に 諦める という文字はない。 なじかはしらねど。 今 30分にわたり、布団をめくられたり身体を天城越えされたり、顔にかるーい猫パンチ(これはかなり必殺篭絡技)されたり 耳元で甘い囁き(とは言い難い)を繰り返されたり という「起きれ」要求を受けていた。 「起きれ。おやつ。」 というわけなんである。 「朝になったらねー」「まだ 暗いからねなさーい」「だめだよー、おやつは夜中はないの」なんつって説得を試みても、その何十倍もの熱心さで 私が眼を閉じようとす...... more
これは難しいですねぇ。
うちもコタの噛みグセ(本ニャンは甘噛みのつもり)は直せませんでしたし。
しかし、血が出るほどかむって言うのは、彼は「遊び」でなく「本気」ですね。
読む限りでは、やはり何かストレス?みたいな不満がありそうな感じがします。
(お客さんが怖いとか・・・)
ビビり屋さんとのことなので、やはり彼の様子を見て、安心するような事をしてあげたり、そういう場所を作ったりとかしてあげるのがいいかもしれません。
かみつきへの対処、以下のページに少し載っております。
http://www.kao.co.jp/pet/cat/soudan/category01/
少しでも参考になると良いのですが・・・。
(猫の爪には100%パスツネラ菌がいますし)
翌日晴れや痛みが引いてなかったら、すぐ病院へ行きましょう。
あああ、なんだかあんまりお役に立ててないような・・・。
何か、新しい情報が入ったら、また書き込みしますね。
以下の文章を、(猫の爪には・・・)の前に入れてお読みください。
すみません、すみません。
彼氏さんは猫アレルギーなのでしょうか。
私も猫アレルギーなので、いろいろ注意している事があります。
キズ対策として、消毒薬と抗生物質入りの傷薬が常備されてるといいかもしれません。
momikoさんは,それなりに対応されているようにお見受けします。8歳雄が何か意識を別に持ってくれるというのは何となく難しいなと思いましたが,試すのはよいかも知れませんね。やはりストレス解消になる行為を作って上げると言うことだと思います。
猫でも人間相手にα雄的に振る舞うことがあると云うのは,同種意識を人間まで拡大してしまうわけですね。なるほど,大変勉強になりました。momikoさんと猫君との関係が閉鎖系で緊密だった故かと思いますが,彼が攻撃に転じた切っ掛けがなんであったのか,それを元に戻す方法を具体的に考えていく必要があります。
私もシャムネコにやられたときは,直ぐに消毒したのですが,傷が深くて拳が2倍ぐらいに腫れたのを思い出しました。そうだったな〜 流石,細かい配慮のみゃ♪ さんらしい回答です。有り難うございました。もう一寸考えていきましょう。
そういえば,公陳丸にもチコにもその芽はあったような気がします。どちらも,目録以上の武闘派なので,人間を巻き込んでα雄の行動の兆候を見せた時期があって,それは幸いにもエスカレートせずに終わりました。お客さんを咬んだり,次男に爪をブスっとやってみたり。ワイフとこの件で話していて,私とワイフが無意識のうちに,その芽を積んでいたのだという記憶が蘇ってきました。
自分たちの猫生活の履歴の中にも,認識していなかったことがあった事実に,勝手ながら少し興奮してしまいました。
でも猫には猫時間があるし犬とは全く違って人に迎合しないでしょ。
一件落着とまではいかないでしょうが少しずつ歩を進めるということになるのでしょうね。 風呂敷ひとつ持たずにやって来た猫ちゃんは何時の間にかその家に馴染み当然なごとく寝床とご飯をもらっている。
考えたら可笑しくてとてもシンプルなこと。
複雑にしているのはむしろ人かもしれません。
そこで思い出したのですが子供達がまだ小さくて生活する中で停滞気味な時「不思議の国のアリス」をまねて「なんでもない日 オメデトウ!」を時々しました。
来客の時など今はいい子でいて欲しい時に普段は入れないとか使わして
もらえないとかの「取っておき」はどうでしょう。
気分屋さんですからひとつでは足りないでしょうが。
もう一つ、その時の状況を早めにキャッチして家の中でも時としてリードは必要でしょう。 私たちの動揺をすかさず感じ取るでしょうからゆったり構えて猫ちゃんとの生活に折り合いをつけて暮らすという事でしょうか。
今はこの程度のコメントしかできなくてごめんなさい。
何でもない日で,お祝い!
リードを有効に使う。
いろいろ考えても上手く行くか分からないけれど,最後は猫君と上手く折り合いを付けられるようにということですね。実際自分がそのような子を抱え込んだらと考えると,かなり大変で好き勝手なことは申し上げられないのですが,何とかこの方には,猫君との菅家員において気楽さを取り戻して欲しいですね。
私も反射的に過剰なぐらいに痛がって、大声を出し、はっきりとかーが怯むぐらい怒って見せます。演技ですが。まさか、噛み返すわけにもいかないので。(私の友人は愛犬に噛み返したそうですが)「噛んだ」ら相手は「怒る」のだ と伝えているつもりです。それでもかーがヒートアップすれば、とことん「闘い」ました。歯向かってくるのを、立ち上がって、じーっと睨み降ろすんですが、かーの方で目を逸らしますので、その瞬間に緊張を解いて、声をかけ、近寄って撫でれば沈静してくれましたね。3回ぐらいそういうバトルしましたな。
でも、ペニンシュラさんの言うように、一度身体に問題がないかどうか診てもらうのがよいかと思います。最近急に噛み癖が出て、神経質の度合いが増しているというのであれば、身体になにか原因があるかもです。
動物が苦手な人と自分の意識との乖離が見えていませんでした。自分にとってやって当たり前というレベルがあって,意識に残っていなかったことをいろいろ思い出しました。心より感謝いたします。