咬癖のあるネコへの対応 #2

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手加減抜きの咬癖など問題行動を起こす同居ネコちゃんについての,書き込みがありました。私は家畜精神病理学などは素人で,専門は野生動物の行動生態なので,アプローチや基本となる考え方のベースが獣医師の人たちとはまず,異なります。役に立つかどうか疑わしいのですが,マクロモデルではなく,問題行動イエネコ個体に対するミクロモデルとしたいところです。しかしながら,残念なことに観察してデータを取ることが出来る個体がおりませんし,一緒に暮らした経験もありません。それでも,最初のエントリーの時に,いろいろ深い経験からの知見を披瀝してくださった方々のコメントと一緒に暮らしている公陳丸とチコが教えてくれたことをベースに,イエネコの問題行動について,自分なりに覚え書きとして以下に駄文を書き連ねます。
 とりあえず,推測した問題行動の素因となっているものについて。
Canon EOS Kiss Digital N, Canon EF Lens 50mm /1:1.8
 開放はこのf値ぐらいが使いやすいなぁ。安いレンズだけど,本体のキスデジも含めて,文句のない写り。構図から言えば,不自然に広い,左側をカットすべきだったのですが,そのまま。




1)α個体症候群:飼育下にあるイエネコであるにもかかわらず,庇護者として扱うべき飼い主との関係が変性し,α個体(第一優位個体)と化すること。この場合,自分とヒトとの異種間認識が崩れ,ヒトが同種他個体として巻き込まれる種同一性障害を伴う場合もあります。狭い空間で,ヒトを巻き込んだ形でヒエラルキーの上位に立つものとしての誤認識が生じ,餌などの要求がエスカレートして,飼い主に対する攻撃で欲求の対象を引き出そうとする場合もあります。

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2)イエネコの「種」同一性誤認識:ヒトとイエネコが本来,異種間関係であるという認識に混乱が生じることにより問題行動が発生する場合があるようです。人間との深い関係により,通常は干渉的競争や攻撃行動などが同種他個体にしか向かないはずのところが,ヒト自身がイエネコの社会行動の土俵に巻き込まれ,他のイエネコに対する手加減抜きの攻撃などをヒトが受けることで大きな傷を負ったりします。来客などイエネコ個体のテリトリーに侵入したヒトが手加減無しの攻撃を受けたりする事例など,希有ですがあります。

対策:手加減抜きの咬癖など,同居するペットとしては,許容できないほどの問題行動ですが,基本的に,何らかの不調によるストレスなどが誘発した異常行動でなければ,大脳活動も含めて疾病ではなく,与えられた情報に対する学習と反応の履歴による一つの結果である。病気や精神疾病が素因ではない場合,異常行動という認識自体が本来は正確ではないと考えられます。だから,「性」同一性障害のもじりで2)を考えましたが,「種」同一性障害ではなく誤認識としました。近年多く見られるマンション飼いや局所的な閉鎖空間の中で,飼い主とある意味で高頻度の干渉関係が生じる場合,攻撃行動の学習などを経て個体と飼い主との関係が変性する可能性を感じました。アクティビティの高い個体,特に雄猫では,個体変異が大きいのと哺乳類は飼育環境(≒資源分布&移動空間)で行動がフレキシブルに変化するので(テリトリアリティは,強力な種であっても飼育環境によっては再現できません),一概に言えませんが,注意が必要だと思いました。このあたり,繁殖成功増加という行動規範のある野生動物というリファレンスを持たない家畜行動学では読み解けない部分があるとはっきり思っております。
 亜成獣から成獣への移行期に,問題行動を起こす個体との決定的な闘争の場面に対面したときに,問題行動を引き起こすような飼い主とイエネコ個体の逆転した地位関係認識が生じないようにする必要があります。これは,ソリタリーのベンガル・リビアヤマネコを祖とするイエネコとしては頻繁に生じる現象ではないにしても,社会性に関してフレキシブルな哺乳類の特性であり,犬と同様のリスクが僅かですが存在することを認識する必要があります。飼い主側としては攻撃行動が生じた場合逃げない。睨み付けるなどして,ヒト側がひるむことなく,同居する場合の社会関係におけるルール違反を個体に伝える心構えが必要です。問題行動の兆候が見られた場合,徹底的な対決姿勢をとり続ける一方で,同時に,これに勝るとも劣らない深い愛情を注ぐひつようがあります。虐待にならぬよう,注意深く,繰り返し個体がα化する萌芽をを潰します。これらは,猫好きの人であれば,無意識に対応している場合が多いのですが,認識してやられていないことが多いので,逆に理解されにくい部分でしょう。甘咬み→許容→エスカレート→叱る・遊び中断などの一連のスキンシップ・コミュニケーションが頻繁であれば,ルール化はスムーズにされていきますが,このあたりが希薄で成獣になってから何回かの攻撃とその後の飼い主の反応により,イエネコ側が学び損ねる場合も考えられます。
 また,屋外に出て行くイエネコの場合,テリトリーに侵入する人に遠慮のない加撃を加える個体が希に生じるが,このようなヒトーイエネコの種間区分が意味をなさなくなるような認識の変性がその背景にあるものと思われます。テリトリー内に侵入するヒトに対して,他のイエネコに加える加撃と同等の攻撃行動を行う個体に対しては,明確に対応した例がないが,コアエリア(家の中)に,いきなり客人が現れるなどのショック療法から,ネコが排除行動を行えない状況で,遭遇頻度を上げ,なおかつ,威圧と親和的行動の繰り返しにより,個体と人間との間にルールを構築しなおすことで,攻撃行動を減少させられる可能性はあると思われます。コアエリアの中心部分にいきなり排除すべき対象が出現するという事例は,排除のための攻撃行動がコストに見合わないと認識させる一方で,親和的な存在であることを繰り返し学習させることで,飼い主以外のヒトへの反応も修正可能ではないかと考えられます。
 プロテクターなどで,イエネコ個体の加撃によりダメージを受けないような装備を施して対応するなどの必要もあるでしょう。大げさなようですが,イエネコ側が,何度,どのような攻撃をしかけても,何も与えられないどころか,威圧される,攻撃のコストに見合わうものを得ることが出来ないということを学習させると共に,飼い主は庇護者としての愛情を注ぎ続けるという一見矛盾する行動を繰り返し行い,問題行動の基本となっている飼い主であるヒトとの間の社会関係を修正していく必要があると思われます。問題行動を起こす個体がが,なぜ誤認識していったのか,そのあたりを飼い主は学ぶ必要があると思います。
 いずれにしても,問題行動の原因自体は個体に対して何らかのストレスを与えているのは飼い主側であることも確かなので,それを明確にすることは重要で,理解することは,愛情そのものだと思います。ストレスとなっている要因を軽減しながら,問題行動個体の攻撃にひるまないこと,愛情を与え続けることの2点をどうしたら効果的に果たせるか,その方法を工夫していく努力も,平和な関係の再構築のためには必要です。
Commented by martini_glass at 2008-01-19 03:01
何にせよ、飼い主の行動に問題があるからそのような行動に出るのだと思います。話の出来ない動物のサインを見逃さないようにしたいと私も思ってきました。来週はまた病院です。毛をとかしていて痛がるところを発見、獣医師に電話したところ、すぐに連れてきなさいとのことでした。ああ、気が重いです。嫌がるんですもの・・・
Commented by complex_cat at 2008-01-20 00:06
martini_glassさん,仰るとおりです。まあ,それが分かっていても上手く行かない場合もあるので,ともかく,必殺愛情光線と相手に相対するとき,矜持を失わないこと以外方法はないと思います。
 獣医通い,私も気が滅入ります。
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by complex_cat | 2008-01-18 23:44 | Cat Brother & Sister | Trackback | Comments(2)

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