7月の猫関連ニュース
2008年 07月 21日
熊本県天草市に手紙を運ぶネコがいる。首輪に手紙をぶら下げ、かわいがってくれる近所の2軒を行き来し、もう20通ほど「配達」した。朝出した手紙はその日に届くことが多く、時には1、2時間で着く「速達」になることもある。ネコの郵便屋さんのおかげで、飼い主同士の交流も始まった。
ネコは天草市倉岳町棚底のアルバイト山本光広さん(69)方で3年ほど前に生まれた雄の雑種で、名前は「たま」。生後半年で姿を消したが、昨年秋に帰ってきた。
手入れされ、毛並みがきれいだったため、妻の幸子さん(68)が「どなたかこのネコを飼っているんですか」と書いた紙をたたみ、首輪にくくりつけた。数日後、首輪に「大人の方ですか。字がきれいですから」との返事を下げてきた。
ネコの首に袋をぶら下げ、何度か手紙をやりとりしたところ、相手は近所に住む県立苓明(れいめい)高校1年生の魚本奈実さん(15)=当時は中学3年生=とわかった。魚本さん方では一昨年夏、家の前にいたネコに祖母のツヤ子さん(74)が気づき、餌をやったらそのまま居ついた。魚本家では「小豆のようにかわいい」と「あずきち」と呼び、奈実さんと姉の英里さん(17)=同高3年=が風呂に入れ、ブラシをかけ、添い寝をしてかわいがった。 (2008.7.3; http://www.asahi.com/national/update/0702/SEB200807020020.html
)
行動圏の最大レンジ長が500mを越えていたようですが,廻りの他の個体の状況とか,空間分布について材料になる部分は,外していて肝心なところは分かりません。恐らく去勢猫だと思うのですが,チコのようなお気楽な生活を満喫しているあずきち君の話です。2chのコピペは,レンジに関する唯一の数値をはしょっちゃってますので,この500mという値は,どうだったか。
こういう,満ち足りた生活をしている子は,我が家も含めて,居住区周辺の環境の問題や更に部屋飼い圧力や行政指導もあって,そのうち日本では見られなくなるかも知れません。保護上重要な小動物にプレッシャーを与えるような場所で,自由飼いをするのは犯罪に近いものがありますので,するべきではありません。さりとて人口密集地なら,クルマや今時の周辺住民とのトラブルから派生する問題があります。既に,こういった自由飼い猫の美談が存在する状況自体が,奇跡に近いかも知れません。猫を守るということを考えると,凶悪なアニマル・ホルダーに拉致,虐待されてしまう心配もしなければなりませんから。
もう一件のニュース。
猫が落ちた——。梅雨空が続く大分市で22日、中心部を流れる川のコンクリート護岸に必死にしがみつき、ミャアミャアと鳴き声をあげる子猫を市民が見つけた。すぐに消防署へ通報。消防隊員4人が駆けつけた。隊員たちは棒を使って子猫を護岸から離し、タモ網でキャッチ。無事救出に見守る住民も一安心したが、問題は子猫のその後。「この子猫どうしよう?」と消防隊員が困っていたら、近くの茂みからひょっこり母猫が現れた。
消防隊員が子猫を放すと、子猫は母猫に駆け寄って甘えるようにじゃれついた。梅雨の影響で川は増水していただけに、母猫は頭をコツンとぶつけ、「なぜはぐれたの。落ちたら危ないでしょう」とご立腹の様子。しかられた子猫はトボトボと母猫について帰っていった。
記事には相当な擬人化が入ってますね。事実と想像の部分が,猫や動物ネタについては,ぶれがちです。想像の部分をどう解釈してどの程度我ら人類と同じ感覚を持っているかは,相当な動物生態屋行動学的な知識と素養があっても難しいと思います。事実として分からない話も多い。ただ,その分からないところを,余計な知識がない分,何も気にせずオーバーランして思いこみを書いちゃうというのは,ありがちです。
私は,小さいとき,シートン動物記とファーブル昆虫記を読んでみて,結果としてシートン動物記の方は余り好きではありませんでした。ファーブルの方が直接観察から得た事実のみを書いていて,シートンの方は,想像の部分が多すぎてただの作り語みたいで,ファーブルが自然科学的読み物のスタンダードとなっていた私には,随分,劣るように感じたのです。
実際そういう評価は妥当なのですが,哺乳類や鳥類の生態などについては,神の視座でもない限り,彼らの生活史を夜となく昼となく全て見つめると言うことは不可能なのです。
著名な進化生態屋になられた先輩研究者が,かつて,哺乳類を追っておられたところが,水系の無脊椎動物を材料にするようになってから,「c_C君,だって,こっちの方は,全部,デスクの上の水槽の中で見ることが出来るんだよ,それって凄い話じゃないか」って話してくれましたが,そうなんです。見えないところを補完する作業の方が,出来る出来ないは別にして,面倒で大変なんです。不可能とも言う。シートン動物記の場合,その部分を書かないとお話にもならなかった部分の補完作業は,連鎖推理や,断片的な観察から組み立てたりせねばならないわけで,シートンが試みた動物記の方が圧倒的に大変だと,後に思うようになったのでした。
さて,このニュースの肝は,母猫が子猫をどうやって教育するか,或いは,叱るという行動が本当にあったとして,その作法が,この通りかという部分だと思います。
通常,母猫は子猫の欲求に対して,阿吽の呼吸で,さっと対応しています。その辺りは,見事な連携だと思うのですが,この阿吽の呼吸を外すというのが,基本的に母猫のペナルティの与え方だと思います。母子猫と暮らしたことがないので,余り観察例を持っていないのですが,さっと子猫が動くのを制して前肢が出るとか,今回のこの空気を読まないヘッディングも,ヘッディングそのものではなく,間合い外しが,彼女が子猫に与えた,ペナルティ,叱る行為だと私は理解しています。
しかし,お巡りさん,消防士,救急隊による猫救出のニュースはよく美談として登場しますが,このくらいの美談は有った方がよいような気がします。人間以外であれ,命を大切に思って無我夢中で動くことは,別に照れたり,恥じいることではないので。
「め組の大吾」の要救助者第一号は,彼の愛犬であり,それが,ラストの感動的なシーンに繋がります。いつも正しいとは言いませんが,可能なときに犬猫を助けられない者に,人を助けるなど出来ないというのも真実っぽいなと私は思います。
数日前,次男の友人が二人遊びに来ました。内,一人が,末っ子の前で,トカゲの尻尾を振り回して千切って,一緒に遊んでいたいつもはやんちゃな末っ子がそれを見ていて,動物を虐めるのが大嫌いな彼は,それを止めてくれるように泣いて懇願したらしいのですが,そのまま投げつけられたらしく,後でワイフがその子のくせ者ぶりがちょっと気になったといっていました。
大体,少年なんぞ,小動物に対してはもの凄く残酷な遊びをして普通なんで,そういうのが凶悪犯の兆候と科されたら,私の知り合いの何人かの友人達は殺人者になってしまいます。小さいときから生き物を大切に出来る方が,ある意味特殊だと思います。ワイフは,特殊な息子3人を見ているので気になってしまうのでしょう。私自身,一々気にする趣味はありませんが,小さい子から止めてと言われたときの反応として,私も話を聞いて少しだけ引っかかりました。結局何を楽しいかと思うことについて,今の時期,全く関係ない話で,まぁ,癖のある子は,何人も遊びに来れば,中には居るものです。
正常な人間の感覚からの救助行為ですが,それが,猫だとニュースになる。2chもHatenaも猫好き比率はそれなりに高いようです。嫌悪する人も居て,その辺りの二極化に見える書き込みも興味深いですけど,それが,猫の持つ力かも知れません。
め組の大吾 (1) (小学館文庫)
曽田 正人 / / 小学館
ISBN : 4091936318
我が家の本日の猫ニュース。
チコベェの肉球,ピンク色に。
朝,長男が二階から降りてきて言いました。「凄いよ,お父さん。今日,チコの肉球凄い綺麗なピンク色だったよ。思わずずっと触っていたんだ。」
数分後,同じようにワイフが,チコの肉球が綺麗だったと私のところに。写真撮ったらと言うことでしょう。いつもハードなフィールドワークをしている彼の肉球は,どんどろべっちゃで傷だらけ。ここのところ暑いのとちょっかいをかける小動物もあまり動かず,行動が規制されているのと,ちょくちょく雨が降っていて,走り回っている彼のおみ足は,帰宅前にはきれいに洗われているのでしょう。で,写真を撮りました。使い込んでいる彼の肉球,綺麗だったけれどやっぱり傷はかなりついているな。
チコの場合,肉球がピンクだと,我が家ではちょっとしたニュースになるのです。
しかし,日本のニュースメディアサイトは,1ヶ月も立たないうちにアーティクルが消えてしまうのですね。著作権云々言う前に,書き捨て記事としかこういうドキュメントの価値を思ってないのではと思います。
この辺りは,どなたかも書いておられたような気がしますが,海外のニュースサイトは,BBCやREUTERSは3年前だろうとちゃんと残ってますね。
2,3週間で消えてくれるなら,何だって書けるし,間違っていてもそれをベースに検証したりすることは重要だと思うのですが,そういう作法,文化をこういう方針をお決めになっている上の方はどのようにお考えになっているかちょっぴり疑問ではあります。或いは,ちゃんと残したかったら新聞取って切り抜くか,スキャンしてpdf化すれば,ということかな。本家ニュースサイトより2chのニュースは便利と若い人は思うだろうし,Web魚拓なんてのが出てくるはずです。
海外のニュースサイトでは,ネコ科ニュースのネタとして拙ブログでも取り上げた分でも,このようにちゃんと残ってます。
サーバルキャット,大陸産の豹sp.とイエネコのハイブリッド・キャットという数奇な生い立ちの猫,Ashraの話(from 当ブログエントリ「猫の値段と幸福度〜高額ハイブリッド・キャット アーシュラ(Ashera)」)。この場合,人間側の幸福度は問題にする気などありません。そんなのそいつの責任だから。
少女への拉致レイプから結婚に持ち込んでいるケースが実に70%に達するというエチオピア,カラでのお話。この場合,結婚とは言わないかも知れません。一種の奴隷化ですね。貧しいので少女も子供を産まされたり,逃げ出して実家に戻っても居場所がないことが分かっているという悲惨さです。
ライオンたちがこういった目的で少女を襲った誘拐犯と戦って,しかも警官が駆けつけるまで彼女を保護していたという白馬の王子様ライオンの話(from 当ブログエントリ「奇跡の猫族」)。
樹上性,サル食いとして知られるヒョウが,自分が殺したヒヒの子供をケアしたという話(form 当ブログエントリ「奇跡の猫族2」)。
全部,まだ読めるよ。これらに対して,日本の新聞社さんは,実はネット空間での運用は,まだ本気ではないのでしょうね。しかし,その辺り,ジャーナリズムとしての責任に関わると思うのでありまして,何とかして欲しいと思います。
夏休み。子どものころの最大イベントだった昆虫採集の宿題は今でも行われているのだろうか。だとすれば、地域によっては集めるのが大変じゃないかと推測する。なにしろ「甲虫(カブトムシ)は百貨店で買う」といった時代ですから。私は小学生時代、首都圏の隅っこに住んでいた。まだ山野が残っていて、種類は少なかったものの、蜻蛉(トンボ)や蝶(チョウ)を簡単に捕まえることができた。何年生のときだったが忘れたが、級友たちが蝉(セミ)や飛蝗(バッタ)などを乱雑に捕獲していたのに対し、蜂(ハチ)だけを集めて提出したことがある。数...... more
市の経営する施設が数箇所閉鎖になりました。その猫達を引き取っていた猫好きなおじさんが亡くなりました。自分でも10匹飼いながら、野良猫にも餌を与えていたそうです。野良猫は特に人の家のゴミをあさるので、猫嫌いな人に毒を盛られないようにと長年に渡って餌を与えていたそうです。その後の猫達の運命はと思うと胸が詰まります。
ファーブルが写真術に興味を持ち、息子さんの協力を得て、研究の実証手段に使ったのは興味深いですね。いわばネーチャー写真家のパイオニアだったと思います。かのナダールがファーブルの肖像写真を撮っています。
ちなみに,五日のエントリで書きましたが,ファーブルは,フランス本国では,認知度はもの凄く低いらしいです。ファーブルのネーチャーフォトについては,以前から興味があって,機会があればホンモノを是非みたいなと思っています。ナダールの肖像画では,ジュール・ベルヌのものが好きです。
ネット上では以下のサイトで見ることができます。
www.gutenberg.org/files/18350/18350-h/18350-h.htm
いーなー,少年期に見ていた岩波のシリーズに一部掲載されていた写真など,記憶が戻りました。
ファーブルの使っていた机の写真など,思い出します。
www.e-fabre.com/association/panneaux/10_PAUL_HENRI_FABRE.jpg.php
現在のフランスでは,このファーブルをほとんど知らない人ばかりだという話で,日本人は私の世代を中心に,偉人の一人として多くの人が認識しているのと対照的です。
フランスでは自然科学音痴,無知が進んでいて,どうだというわけではないでしょうけど。