Telemetry覚え書き6
2008年 08月 24日
廉価版合法的FMテレメトリー・システムの開発は遅々として進みません。一方で,最近GPSで取得した位置データを公開されている雌ニャンコは,最大レンジ長が300mもあるので驚きました。周辺,土地利用や植生を見るとどうやら森林の中のようですが,個体差や環境条件や過去経験などが影響するので,哺乳類行動については,数例で何でも過剰一般化するのはとても危険です。
しかし,件のニャンコは,野生動物テレメのセオリーから云えばあり得ない装着方法です。このようなかなり鬱陶しい装着方法でGPSロガーをぶら下げられたにも関わらず,ご主人思いのその子はとても素敵なデータを見せてくれました。羨ましい。チコだったら,どこかに引きちぎって置いてきそうな状況です。
GPSテレメトリーは,リアルタイムに何処にいるかということを調べるには向きません。データ管理会社と契約した上で,アルゴス衛星にデータを送ってもらうシステムを使う必要が出てきます。某野生生物に鷹揚する調査の打診があって,ちょっと調べたのですが,飼い猫にそれをやるには,費用も考えてちょっと大げさすぎます。一方で,野生動物の場合,GPSロガーの回収が大変なのですが,飼い猫の場合その点浜市に帰ってくるので,データを蓄積して,チコの場合,彼が立ち寄る場所をあらかじめマークしておいて,事故が起きたと思われるときには,片っ端からチェックに走るという形でのリスク管理は可能だと思いました。
FMテレメの方はかつては研究者が使っていたこの電波帯の法的規制が厳しくなった現状では,使えなくなりました。「総務省とチデジの馬鹿野郎」でございますです。勿論リアルタイムに位置を探るならば,携帯の発信者の位置特定アプリなども使えないこともないのですが,携帯電話はそれなりに重いし,私の考えている応用編では,費用の問題が出てきてしまいます。NTTの全面的協力を得て,カスタムハードウェアによる携帯インフラ利用によるテレメをされている研究者もお出でですが,こっちはそうもいきません。また,携帯インフラの脆弱な郡部辺境や山間部では無理という問題があります。リアルタイムに位置を知る方法なら,追撃法の技術はいりますが,コストパフォーマンスも含めて,今どこにいるのかを知るための技術としてはFMテレメトリーに勝る方法はありません。初めての場所初めての里親,ニャンコが逃げた,どこ行った?で探す方法としてはGPSロガーは勿論使えません。
単純に首輪に付けた方が良いかもしれません。個体差があるのですが,彼が,こういう余計な装備を持たせられることに鷹揚であるとは,間違っても思えないので。