
週末一時帰宅。明日は弟子と,別のデータ取りと実験地借用のためのネゴシエイト。明後日,デスクワーク終わらせて,また屋久島にとんぼ返り。
この淀川にも,数年ぶりに戻った気分。かつてここから一緒に登山をして,永田岳頂上までRDB植物の調査を一緒にした友人は,今はこの世には居ない。
小屋の周辺は,訪れる人がキャパを越えすぎて,トイレが間に合わなくて大腸菌汚染が心配されるが,あの頃と同じように,淀川は見た目の透明度は変わらない清流を流し続けている。

彼のことをずっと思い出していたわけではない。徹夜明けで標高1,200m越えたら,流石に手が震えてきた。体力はないが,柳に枝折れ無し。
仕事が忙しすぎて,頭も回っていなかった。
彼がもしもそこに居たとしたら,私が彼のことを一瞬忘れていたことを「相変わらず,c_Cさん,忙しすぎですねぇ。」とちょっと寂しそうに笑って済ますだろうか。

間違ってもセンスのあるとは言えない自らの植物同定力をベースに,にわか仕込みの付け焼き刃で挑んだが,少し勘が戻ってきた。一応,原生環境保全地域から自然遺産登録までのベースとなった一連の論文も手伝ったので著作もあるんだぞ。へへ,今となっては自分でも信じられないが,君には話したこと無かったね。どんなもんだいと,彼に呟いてみせる。

そう,少し山勘が当たると,調子に乗るんだ。君が元気だった頃と同じだ。僕が山勘で種名を言うと,君が同定して修正してくれて,僕がマクロで記録する。至福の時間だった。
僕はくたばらない。いろいろどうあっても,今は歯を食いしばってもくたばらない。くたばったら,君にとっても最良の時間だと思えた,あのときのことをこうして覚えている奴が居なくなる。

君のことは忘れない。僕が生きている間は,僕が覚えている。誰にも話す必要など無いけれど,僕が覚えている。

白骨樹の名前どおり白骨になっても生命反応は消えずにどっこい生きているスギ個体やヒメツルアリドオシも,あの時のままだった。